4月から9月まで、私のほうは、オンラインのセミナーの機会が続いていました。大学様向け・企業様向け・一般の方々向け、をひと通り経験させていただきました。
そしてユー・イングリッシュの9月の共催セミナー×2(『米国特許出願のための翻訳セミナー』『伝わる英語論文を書くための英語のコツ』)につきまして、ご参加くださいましたみなさま、誠にありがとうございました。
少しでもお役に立てる情報をご提供できたことを切に願っています。
Webセミナーの形は様々で、対面と同じくらいインターラクティブなものから、講師の声だけによる一方的なものもあります。
いずれにしても、Webセミナーには利点があると考え、結構好みながら行ってきました。
ひと区切りつきました今、改めて、コロナ時代をはじめて振り返りました。
思えば私、コロナ時代に入ってから出歩くことがなくなり、電車にも乗らなくなりました。
出張で多く移動していたのに、3月以来、私は一度も電車に乗っていない。
そして、これまでになく事務所に出社しているので、机は付箋だらけ。
また、4月以降に新しく出会った方々とは、オンラインのままであることにも、気付きました。
生の声を聞かず、画面越しの関係です。
「一度、お電話でもしてみようか」などとおかしなことも思いました。なぜ「おかしい」かというと、お電話とzoomは、電波上の声であることは、同じだから。
コロナ時代の変化に順応してきたと考えてきた自分でしたが、本日、初めて思いました。
会いたい。
そう、セミナーの受講生に「会いたい」。お客さんに「会いたい」。新しい方々とも、できればzoom上の画像補正が入ったフェイクな?姿ではなくて、リアルなほうがきっと自然で良いのでしょう。
気付くのがかなり遅かった私。
きっとみんなそんな人恋しさを感じながら、コロナ禍の時期を過ごしていたのでしょうね。
必死さと忙しさで、これまで考えたことが無かったことでした。気付くと秋になり、はじめて思いました。
また対面のセミナーが出来るようになればいいなあ、と。
そんな願いを頭の片隅に置きつつも、ユー・イングリッシュセミナー2021については、現在はオンラインにて検討をしています。
いつか対面セミナーが可能になったときには、両方の形がそれぞれの利点を生かして整っていくのでしょう。
さて、ユー・イングリッシュオンラインセミナーについては、詳細が決まれば掲示をさせていただきます。
また本当にお会いできる日々が来るまでみなさま Stay safe and healthy.
ハウプトマン・ハム国際特許商標事務所との共催セミナー【米国特許出願のための翻訳セミナー】の日程が迫ってまいりました。
多数の皆様にお申し込みをいただき、心より感謝いたします。
さて、今回ご一緒させていただきます講師の岡東先生は、私が過去に同事務所の米国特許に関するセミナーを受けていたときの講師のお一人でした。
当時、金土日の東京開催×3ヶ月にわたるコースにて、米国弁護士の先生とともに当時米国にいらした岡東先生がその都度ご帰国なさり、様々な知識を私を含めた参加者に教えてくださっていました。
その後、翻訳者だって米国特許実務を学びたい、という翻訳者向けの米国特許セミナーの開催を同事務所にお願いをしまして、2015年、2016年に、共催セミナー開催させていただくことがありました。ありがとうございました。
そして今回。
きっかけは3月、コロナで研修が中止となる前の最後の集合研修を弁理士会で担当させていただきましたときでした。
大阪はコロナで中止になりましたが、東京はぎりぎり担当させていただけて、200名の弁理士の皆様ににお会いできましたこと、大変光栄でした。
弁理士会の研修では、正確、明確、簡潔な翻訳スタイルをご紹介しつつ、日英の違いや翻訳文のチェック時の留意点などをお伝えさせていただきました。
その帰り道、お目にかかるといつも鋭い視点で勉強になる一言をくださる岡東先生が、「クレームに絞りましょうか。」、とお声がけくださいました。
「はい。」、と即答。
そして、Ms. Nakayama will prepare 30 claim examples.などと、米国アレクサンドリアの事務所本体へと、セミナー企画を通してくださいました。
30 claims?!
正直なところ、特許クレーム(権利範囲を定める)はセミナーでの扱いが結構難しくて、これまで私はセミナーで焦点を当てて掘り下げることを控えてきました。
翻訳をしているときやリライトをしているときは、内容に入り込めるのですが、クレームはひとたび集中が切れると、なかなか、内容に入り込みにくいものです。
したがって、クレームの翻訳文や翻訳の方法を扱い、分かりやすく説明するというのは、ある意味とても難しいと思うのです。
また、案件固有の問題や、本当にケースバイケースである内容も多いです。
しかし今回、背中を押してくださったことに感謝をしまして、準備を進めてまいりました。
皆様にとって有益な情報をご提供できるよう、努力いたします。
(なお、その後30 claim examplesは多いですね・・・というご指摘もいただきまして、ご紹介する例の数は調整をしています。)
●第一部(午前)は岡東先生が、米国でのクレーム解釈について、次の内容をお話くださいます。
○米国クレームの役割と構成
○判例に基づく米国でのクレーム解釈について
○米国特有クレームの特徴とその解釈について
○米国実務に適した明細書について
●第二部(午後)は、中山が担当いたしまして、推奨する翻訳例として、米国クレーム翻訳を取り扱わせていただきます。概ね次の予定としています。
○米国クレーム翻訳のポイント
(→112条(b)不明確拒絶ってどんなもの?取り得た対策は?)
○米国特有クレームへの適切な対応
(→米国クレーム翻訳の基本)
○翻訳が難しい日本語クレームの適切な英語翻訳
(→位置関係他の悩ましい日本語の処理例:基礎から実践まで)
○米国実務に沿った明細書翻訳
(→harmful wordsを避ける翻訳の例)
オンラインでの開催となりましたが、皆様にお会いできますこと、楽しみにいたします。
講師側からはスライドを使った説明、ご受講者のカメラや音声はオフにて一方向で講義をすすめますが、チャットの類の機能にて、随時ご質問やご意見をいただくことが可能です。資料は事前に配布いたします。
お申し込みの期限は10日(木)まで延長となりました。ご参加いただける方は是非にお待ちいたします。
【権利範囲を減縮しない米国実務に即した翻訳手法 ―米国特許出願のための翻訳セミナー(2020年9月16日開催)】
心というのは不思議です。人の心はどこにある。心臓のあたり。
その心が落ち込むと全身の元気がなくなり、逆にワクワクしたり、嬉しかったりすると全身が元気になります。
嬉しいときは本当に心が躍ります。
今日の私は、嬉しい。
あれ?何かな?心が躍っている。
何かいいことあったか、自分?何か、心が喜んでいる。
そんな心の動きを感じていました。
嬉しさ・・・
それはワクワク感(ドキドキ)ともまた違い、心がなんとなく上のほうに移動しているような、そんな感じです。
さて、その嬉しさの正体が何かが分かりました。
本日の納品原稿。
とても良い品質で納品できたと思うのです。
中山は毎回リライトを担当しています。そのうちに社内の誰かに代わってもらおうと思いながらも、やはり自分のリライトを飛ばすことは、今のところ、できていません。
本日は和訳と英訳が一つずつ。通常の特許翻訳とはいずれもやや異なる案件。
いずれも、良い品質で納品できたと思っています。
翻訳では、「ちょっと苦しいから、まあいいや」、と投げ出したくなるような工程があるかもしれません。
この工程を一つ省きたい、と感じることがあるかもしれません。
こんなに多くの工程を踏んでいたら、翻訳料金のもとがとれない、という懸念も当然あります。
しかし、ユー・イングリッシュでは、執拗に粘り、工程を省くことなく、時には逆に工程を加えていきます。
しつこさ、良く言い換えると、粘り強さ・・・これがやはり、翻訳者には必須なのです。
私は今回の2件について、かなりしつこく確認をしました。
「通常の工程はすべて終えたので、最後は読み通しだけでいいか、日英の対応は、まあいいか・・・」という弱い心の叫びを無視して、「読みなさい、きちんと英語と日本語をもう一度全部、確認しなさい」、「少し不安が残ったんでしょう?それなら全部、確認すること」、と強い声が私を統制します(なお、人を統制することはなかなか難しいので、自分を統制することが大切です)。
そして全部確認してみたら、良い精度であることが確認できればそれはそれでとても良いですし、たった一つでも誤記や不具合が見つかれば、一瞬にして、その労は報われます。
・・・とそんなことを経て、納品を終えましたら、とても晴れやかに感じるものです。
嬉しさ、いつもそれを感じながら、翻訳納品を続けたいものです。
そう、お金のことを眼中に入れず夢中で取り組んだ結果、もたらされる喜び、心の豊かさ。
そして物理的な豊かさというものは、時がくれば、きっと自然にあとからついてくるものなのでしょう。

拙著「外国出願のための特許翻訳英文作成教本」より。
弊社twitterの確認のために最近拙著を目にすることがあり、そんなこと書いていたことを思い出しました。
翻訳者はそのようであるのが自然の姿であると思っています。