ユー・イングリッシュ

ユー・イングリッシュ 中山裕木子 ブログ

働くということ


本を書くこと

セミナーをすること

翻訳をすること

 

 

つまり仕事をするとは、次のことであると考えています。

 

 

 

それは「働くこと(work hard)」

 

 

 

そう、報酬をくださるお客様のために、身を粉にして働くのです。

 

本の執筆の場合にはそれは読者のみなさまであり、セミナーの場合は受講者、翻訳の場合はクライアント様です。

 

 

仕事の定義の勘違いに、次のことがあるように思っています。

 

自分の能力を見せること  No

パッションに従うこと  No

 

仕事をするにあたり、能力とパッションは、前提条件であって、それ自体が仕事として認められるものではありません。

 

なお、能力つまりその仕事を完遂するためのスキルがそもそも足りていない場合には、それを補うべく、そして身に付けるべく、工夫する必要があります。

またはチームで行う仕事であれば、足りない部分を他の担当者が補います。

 

また、仕事をするにあたりパッションを持ち合わせていないことは、不運です。

仕事はいずれにしても一日の多くの時間を占めるのですから、パッションがあると仕事が楽しみの一部となり、多くの時間を楽しく過ごすことができるためです。

パッションがある仕事に変更する方もいれば、その仕事にパッションを見出す努力をする人もいると思います。

はじめからパッションを持って天職に巡り合うというよりは、徐々に、気持ちが向く方向へと調整をしていくうちに、形や度合いは様々であるかもしれませんが、仕事にパッションを見出すことができると思います。

 

 

 

さて、その能力とパッションですが、前提条件であって、それだけを使って仕事をするわけではないと思っています。

 

つまり、仕事とは、やはり「働く」ことであって「尽くす」ことであると思うのです。

 

work

 

なんですよね。

 

 

自分の持っている知識を見せびらかして終わりというセミナーは、魅力がありません。

講師に会えたという以外に得るものが少ないのです。

 

知識を上手く整理し、受講者のために効率的に学べるように整えてあるセミナー、しかも、元々講師が有していた知識だけではなく、より詳しい知識を調べてまとめてある、というセミナーは、もう一度行きたいと思いますし、セミナーに足を運ぶ意味があると思うのです。

 

本の執筆もそうです。

知っている内容をただ書き連ねるのではなく、持っている知識も、時には著者が知らなかった内容であっても、読者のために必要であれば、とりまとめることができるでしょう。

読者が必要な知識を得ることができ、読者が助かるように、著者は(および編集者も)働かなくてはいけません。

 

翻訳にいたっては、まさに働くことの連続により、翻訳文が完成していきます。

一読して原稿の意味が取りづらい箇所は、第一翻訳者が働いて、調べて読破して、適切に訳します。元の原稿よりも一読して分かりやすい、というくらいまで、翻訳品質を引き上げます。

また、お客様が迷わないように、必要に応じた訳注をつけます。自分が苦労したことへの訳注ではなく、お客様が短い時間で理解できることを助ける訳注です。

 

お客様皆が自分ですべて書いた和文を翻訳依頼しているわけではないという意味では、翻訳者が悩んだ箇所は、お客様もチェックに時間がかかるところでもあると思うのです。そのような場合に時間を短縮できるよう、できるかぎり分かりやすく負担の少ない訳文に仕上げることが必須です。そして必要最小限かつ十分な訳注を付けます。

 

 

 

そのようなことを思いながら、本日、仕事をしていました。

 

仕事とは、やはり、一生懸命に働くことなのです。

 

誠心誠意、尽くすことなのです。

 

 

もし目の前の仕事が楽にサラサラとこなしていくことができるようになった場合には、次の難易度を加えて仕事をすることが必要なのでしょう。

 

 

 

このこと、つまり「仕事とは、働くこと」

これが分かったら、実は「仕事って厳しい」や「苦しそう」ということではなく、逆に実際は、とても心が軽くなる部分でもあるのです。

 

自分が仕事が上手くいかないと感じるときは、自分の能力が足りないのではなくて、自分の努力が足りないためである、と思えるためです。

 

逆に言うと、努力することを基本としていれば、はじめから完璧な能力がなかったとしても、きちんと仕事をやりとげていくことができるのです。

 

 

自分の能力を「さあ、使って」と提示することではなく、それを使って自らそれに努力を加えて、仕事を完遂させていくこと。

 

 

自分の知っていることも、知っていないことも、謙虚に受け止めて、そして「働くこと」。

 

そのことをユー・イングリッシュでは、大切に、大切に、進めていきたいと考えています。

 

 

基本に忠実に、既存の枠組みを超えた仕事を目指していくこと。

これを企業として目指していますが、既存の枠組みを超えるまでには、未だ至っていないと感じます。

そう、自分の努力がまだまだ足りないと感じているのです。

もう少し、もう少し、まずは私が努力したいと考えています。

新著とのつきあいかた(レビューは寝て待つ)


前にふと書き留めていたけれど、放置していたことを思い出しました。
出版に関してです。

 

書籍を出すとき、著者は我が子を世の中に送り出すような気持ちになります。

 

大丈夫?うん、大丈夫!頑張って!でも不安だね。
ここまで、大切に、大切に向き合ってきたから、きっと、あなたは大丈夫。

そんな気持ちで、世の中に、送り出します。

 

そしてその書籍が、読者の方々にどのように受け止められているかは、怖いようで、しかし気になるところでもあります。

 

身近な人が個人的に感想をくれると、とても嬉しい。

 

そして身近ではない人の感想も、知りたいと思う。

 

しかし、感想は、促さずにじっと待つほうがよい。

 

基本的に「感想を書く」というひと手間をかけてくださる方は、その本を読むことで、何らかの方向へ心が動いた方です。それがプラスであれ、マイナスであれ、心が動いた方が感想を発したり、書いたりしてくださいます。

 

例えばアマゾンのレビューというのは、そうそう簡単につくものではない、と私は考えています。

 

そのことは、一番はじめの書籍(2009年)から、経験ずみです。

 

レビューは、長年かかり、少しずつ、積み重なるものです。

 

したがって、逆に新刊で、初版の販売部数がそれほど多いわけではないのにすぐに複

数のレビューがつくというのは、少し怪しい感じがします。

 

つまり、「頼まれ書評」であるかもしれない、という場合があるかもしれません。

 

私も実際、レビューを頼まれたことが何度かあります。

 

ひとつは、あまり世の中を分かっていなかった若いころの経験。

 

複数の書籍を出されている業界の大御所の方から書籍を購入しました。初対面の私に書籍をその場で販売されたのに少し驚きましたが、言われるがままに購入しました。

「読んだら感想をメールして」、と言われました。

わりと生真面目だった私は、大御所の方ということもあり、やや大げさとも言える感想を個人あてにメールしました。

 

そうしたら、返信のメールで、そのままアマゾンに載せてくれないか、と頼まれました。

当時は断ることができず、言われるがままに載せてしまいました。

しかし、数年たったとき、自分のレビューが上位にあることを知り、それを見て買う人に対して不誠実であると思って削除しました。

 

削除するやいなや、著者から、お電話が入りました。

 

削除されたのだけれど、心あたりはある?・・・と。

 

 

 

何を目的として書籍を出すのか・・・?

 

「本」と言うのは、お金のために書くものではないのです。利益を得たいのであれば、執筆ではなく、別の仕事をしたほうがずっと割がよい。「本」というのは、自分が伝えるべきこと、あふれる想い、そして読者の役に立つと著者が信じる内容を表現するものです。したがって、その目的とずれる何かを執拗に追い求めてはならない。

 

当時は自分が本を書くとは夢にも思っていませんでしたが、レビューの操作だけは、私は何があってもしない、と誓った瞬間でした。

 

 

もうひとつの経験は、数年後、違う業界の遠い知人にレビューを頼まれたことです。
素敵なアナウンサーの彼女が、星1つのレビューが付いて、それを緩和したいから星5つをお願い、と連絡してこられました。

 

しかし、申し訳ありませんが、お断りしました。

 

そのとき私がその方に伝えたこと。

 

「○○さん、嫌われる勇気、ですよ。星1つだって、いいじゃないですか、嫌われてこそ価値がある。レビューが無いよりも、ずっといい。」

 

失礼なことを言ってしまったかもしれません。

 

しかし、私はそのとき、すでに本音を言えるようになっていました。

そして本音を言うことで嫌われたとしても、不誠実になるよりもよい・・・。

 

 

 

書籍の書評は、自然に発生するものであると考えています。

レビューは、寝て待つのです。

 

 

新著を出したとき、私は、お世話になった人にお送りしたり、身近な人にプレゼントしたりすることがあります。

 

その本を出版するにあたって、この方に感謝したいと思う方に、自腹を切ってお送りします。

 

それから、最近ご挨拶できていないな、どうしておられるかな?と気になっている仕事関係の方にも、お送りしたり持参します。

何もないのになかなかご連絡はできないですから、会いたいなと思う人や、ご連絡をくださっていたのに当時は応答できなかったなと思う方、またどうしておられるかな?とご挨拶したい方に対して、自分の新著をネタにして、その方のご様子を伺いたい、というのが目的です。

 

新著とのつきあい方は、そんな感じです。

 

そのようなわけで、世の中に送り出した書籍を暖かく見守りながら(できれば出版を機に、もうその書籍のことは忘れたことにして)、良いレビューも悪いレビューも、書籍を手にとってくださったことに感謝をしながら、受け止めたいと思っています。

 

 

 

丁度2冊目の3語本(英語は3語で伝わります【どんどん話せる練習英文100】)を出した直後に、このような内容を書き留めていました。

今日久しぶりにその本のアマゾンのレビューを目にすることがあり、レビューの内容を受け止めながらも、目的の読者に拙著が届いていることが確認できたので嬉しいと思いました。

ACSスタイルガイドのお話


大好き!という熱意だけではじめたACSスタイルガイドの翻訳企画、なんとか形にすることができました。

本当にありがとうございました。

 

 

過去にACSスタイルガイドのページをはじめてめくったときのことは、今でも思い出します。

 

「答え」が、あるじゃないか・・・。

 

工業英検1級を取得し、技術英語の書籍(技術系英文ライティング教本)を出版しても、まだなお模索を続けていた私にACSスタイルガイドは希望の光を与えてくれました。

 

単にSVOや能動態だけではなく、日々の細かい英語の工夫に対して、技術翻訳者および技術英語講師としてもっと自信と説得力が欲しかった私の要求を満たしてくれる書籍でした。

 

のちには、ACSスタイルガイドとは、導いてくれるものである一方で、そのスタイルガイドの「読み方」を自分なりに工夫することで、自身のスタイルを確立していくことができると気づきました。

 

時にACSスタイルガイドに背中を押されながら、また時にはACSの指針に対抗して自分のスタイルへと発展させながら、非ネイティブとして、納得のいくライティングスタイルへと発展させていくことができました。

 

ACSスタイルガイドでは、英語の書き方の指針について、特に次の章に明快に記載されています。

 

1 科学分野の表現技法

4章    文体と語法

 

2部: 表記の指針

9章    文法,句読点,スペル

10章  編集スタイル

11章  数量表記,数学的表記,測定単位

 

 

ACSスタイルガイドには、例えばハイフンの説明など、卒倒しそうなくらいに多くの例が出ています。

 

 

このままハイフンの説明と例示が10ページ続きます。

 

これが英文ですと、かなり情報が探しづらい。また今度調べよう、ここに載っているから大丈夫、とつい読み過ごしてしまうことが実際にありました。

 

しかし、訳書になったら、前よりも情報が見つけやすくなったと思います。

 

そして英文300ページの「ACSスタイルガイド」が、外観・中身・そしてお値段まで、コンパクトにまとまったと思っています(和書のページ数は450ページ程度あります)。

 

ひと言感想を下さった研究者の方が、日本語はやっぱり英語より読みやすい。流し読みができる。やっぱり楽になりますよ・・・とおっしゃってくださいました。

 

また、例えばマクマリー有機化学のように、日本には化学の良書の訳本が多くあり、それが日本の発展を支えてきたんです。ですからきっと、研究者の役に立ちますよ、ともおっしゃってくださいました。

 

少しでもお役に立てると思うと、とても嬉しいです。

 

また、手に取りやすくなることで、ACSスタイルガイドの英語の書き方の指針が日本で広まるといいなと考えています。

 

 

ACSスタイルガイド   アメリカ化学会 論文作成の手引き

 

 

スタイルガイドに推奨される決まりごとをまずは「知る」ことが大切と考えています。

知ったその先は、自分のスタイル(読者のスタイルに鑑みた自分のスタイル)に合わせながら、取捨選択をして、発展させていけると思います。

 

 

That was my big project last year.

 

非常に苦しかった一方で、非常に幸せでした。

 

 

 

お世話になった方々にようやく書籍をすべて送り終えて、面談などを通じて助けてくださった方々にも、ご挨拶をすませることができました。

 

 

「出版できて良かったですね!」と笑顔で言ってくださったことで、半年前の苦しかった自分がよみがえりました。

この経験を経て自分が乗り越えたこと、自分が失ったこと、そしてなによりも、確実に時間が過ぎた、ということを実感していました。

 

 

 

さて、振り返るのはこれで終わり!  また前を向いて、歩いていこう。

 

 

みなさま  Enjoy the long holidays and the start of the new era!

(ユー・イングリッシュも明日よりofficiallyに10連休をいただきます。どうかみなさまお気をつけてお過ごしください。)

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