ユー・イングリッシュ

ユー・イングリッシュ 中山裕木子 ブログ

MIT OpenCourseWareを久しぶりに紹介しました


講義を担当している大学では、Zoomのオンライン授業が続いています。

 

英語論文ライティングの大学授業では、コース回数に余裕がある場合には、ウォームアップで音声も取り入れています。

 

ライティングを軸に、発話力、リスニング、プレゼン力も高めていただくことを目指しています。

 

特にZoomの授業では、はじめの緊張した雰囲気を和らげる軽いウォームアップが望ましい。

オンライン模索中の前期は、1-2分の短い動画を色々使いました。

 

例:

●How to wear a fabric mask safely.

https://www.youtube.com/watch?v=9Tv2BVN_WTk

 

●How to protect yourself against COVID-19

 

 

一方で、通信が遅い学生からは、動画での練習は、やりにくいとのご意見もありました。

音声にはタイムラグがないが、画像にタイムラグがあり、字幕が追いつかない。

 

そこで今期は、英語学習に役立つサイトの紹介を中心にしました。

 

■本日の紹介サイトはMIT OpenCourseWareです。

https://ocw.mit.edu/index.htm

 

 

 

過去に京大で教えていたころは必ず紹介していましたが、一つの動画が長いので講義では若干使いづらく、最近は使用を怠っていました。

 

久しぶりに紹介をしてみて、また感動しました。

 

ああ、やっぱりさすがのMIT、マサチューセッツ工科大学Massachusetts Institute of Technology)。

 

授業が素晴らしい。

 

MIT OpenCourseWareって何?という方はこちら→What is MIT OpenCourseWare?をご覧ください)

 

 

 

物理基礎、電子電機基礎、プログラミング基礎・・・

 

英語が分かれば、学びたい人には道が開けている。

 

学びたい人にはいつでも学べることは、素晴らしい。

 

英語に関しては、やる気さえあれば、Transcriptがとても親切なので大丈夫。

 

久しぶりに見てみましたら、TEDと同じように、Interactive Transcriptが付いて英語を文字で見ながら動画を追っていけるものが多くありました。

 

 

 

昨今は、コロナで物理的に移動が減ったことで、逆に世界がオンラインで一つにつながったようにも感じます。

 

日本がいよいよ世界から置いていかれないように、これからの理系学生達には「英語を使える力」をしっかりと身に付けていただきたいと思います。

 

 

「英語ができたら得られる情報が何十倍も増える、だから頑張ります。」

そう言ってくれた学生をとても頼もしく思いました。

 

 

さて、私も頑張ります。

 

個人的な長年の野望は

●技術の基礎を地道に学んでいきたい

●できれば技術の基礎を英語で学びたい。そうすることで、英語と技術を両方学べるため

 

学びたい人には道が開けている。いいね、MIT OpenCourseWare!

英語の理解を深めるためにも柔軟な頭―講師業より


本日の学生の質問。

 

I could pass the exam.  試験に受かったの?受かってないの?

couldには仮定法の意味があるから、「できた」か「できていない」かが分からない。

 

このことを、理解しているんです。

 

(私:よく勉強していますね~)

 

しかし、先生のTEDトークで、I couldn’t speak English.って言ってましたよね。

あのcouldn’tは、「できなかった」のか「できなかったわけではない」の両方を表してしまう、ということにはならないのでしょうか。

 

(私:5年前のTEDxですか。あー、見ましたか)

 

 

中山解説:

couldには仮定法「できるはずなのに」や「できたはずなのに」の解釈の余地があるのに、なぜcouldn’tにはそんなニュアンスがほぼ残らないのか。

それは、人間が使う「文脈」の問題である、と考えています。

 

「できたはずなのに」

「できるはずなのに(もう少し時間があれば・もう少し頑張れば・私にだって)」

 

これらは、人間生活において、よく生じる状況なのでしょう。

 

 

「できないはずなのに」

「できなかったはずなのに(~であれば)」

 

一方こちらのほうは、そもそも、使う状況が少ない。

 

単に「できなかった」= I couldn’t do it.のほうは、使う状況が遥かに多い。

 

ですからI couldn’t speak English.と言っても、「私は英語が話せないかもしれない」や「話せなかったかもしれない」という意味にはならず、「話せなかった」という単純過去の意味になります。

 

 

couldn’tが仮定法の意味になるのは、とても限られた、例えば次の文脈を思いつきます。

 

 

How are you today?       (調子はどう?)

Couldn’t be better.            (最高だね=これより良くなることなんてないくらいだよ。)

 

 

couldn’tを仮定法の意味で使う文脈は、これくらいかな、と思います。

 

 

そんなことを、学生へ話していたら、学生は「あー、確かに」と納得した様子でした。

 

 

英語は言葉ですから、人が便利に作っている。

人が使う状況を少し考えてみると、色々なことが見えてきます。

 

英語は「勉強すべき教科」ととらえて頭が固くなってしまうと、行き詰まってしまうことがあります。

 

すべての表現が同じように説明できるわけではない。それぞれの単語が異なる意味を表すので、扱いも変わるのです。

 

 

似たような話をもう一つ。

「できない」を表すcannotとcan not。

 

can notは強意、と辞書にあります。

cannot は普通の表現です。

 

人にが「それはできない!」と言わなければいけない状況は多くあるでしょうから、cannotという自然なトーンの表現と、can notでnotを強調する表現の二種に分かれたのでしょう。

 

I cannot take this job.(この仕事、無理です)

I can not take this job.(この仕事、私には絶対無理です)

 

一方、mayの場合にnotを強調する表現は特に無いので、maynot と may notの2つの表現は必要がない。ですからmaynotは存在しないのです。

 

ところがmaybeは存在しています。「may be(~かもね)」という文脈が人の生活において多くあるためです。

canbe(なりえるだろうね)という表現は無いのに。

 

 

そんなことを考えるとき、言葉を理解することは楽しいな、と感じます。

 

 

翻訳文の英語を扱うときも、同様のことをいつも考えています。

 

なぜこの単語はOKなのに、この単語はダメと感じるのか。自分が持つ違和感はどこからくるのか、それらを自分なりに分析しながら、表現を選んでいます。

 

 

気がつくと固くなる頭を意識的に柔らかくして、物事の本質を捉えること。

難しいけれど、仕事をする上で大切と考えています。

had betterの理解(業務の日常より)


論文の書き方:若手研究者へ というところからの一節:

 

*****

Beginning independent investigators are often told that a research reputation can be thought of as a product of quantity times quality of published work.

 

若手研究者は、出版物の量と質の積で研究が評価されると耳にするかもしれない。

 

If only one publication appears every 10 years, they may be advised, it had better be a good one. On the other hand, a large number of low-quality publications is not of benefit to the individual or the profession.

 

10年に一度しか出版物を書くことができないのであれば良質にするほうがよいだろうが、質の低い出版物を数多く出すことは,本人にとっても科学分野にとっても有益であるとはいえない。

*****

 

自分で日本語訳を確定しておきながら、意味が取れない。この記載はOn the other handが矛盾しているように思う。いや、英文は誤っていないから、自分の解釈が誤っている。

 

 

●had betterのニュアンス

 

3語英語の説明サイト(「had better」は命令口調。もっと自然に伝えるには?):

https://diamond.jp/articles/-/193586?utm_source=daily&utm_medium=email&utm_campaign=doleditor

 

 

これを実際に適応して、上の英語を日本語に訳そうとするが、何か上手くいかない。

 

 

結局、英語ネイティブにメールで確認しました。

 

なお、私自身はフリーランス時代10年、そしてその前後の合計およそ15年ほど、ネイティブの意見を一切聞かずに、自分の書き方スタイルを確立しました。

「非ネイティブだからこそできる、シンプル英語による高品質翻訳」などと謳ってきました。

「ネイティブに聞かずにスタイルガイドに聞こう」ともよく言ってきました。

 

しかし会社を設立してから最近は、「参考」にするために英語ネイティブの方々の意見を聞くことがあります。

 

意見に振り回されない確固としたスタイルが確立すれば、そこからネイティブ英語話者の意見を少しプラスアルファすることは、より品質を高めるために悪くないと考えています。

 

「私たちは英訳翻訳者、英語力アップしようプロジェクト」も社内でもやってみたいと考えています。

 

英語ネイティブの意見が必須ではないと考えつつも、余力があるときは、前進を願って相談を・・・。

 

 

さて、今回の質問。

 

分かっていたことだけれど、had betterは”a threat”とのこと。それをきちんと適用すれば、先の英語は意味がとれるのに、いざ実際の文、しかも書き言葉の文中に普段目にしないhad betterが出てきて理解が甘くなってしまったことを反省しました。

 

英語ネイティブからのメール:

******

Hi Yukiko,

 

‘You’d better do it! Or else there’ll be trouble.’ is a threat.

 

‘If you’re only going to publish once every ten years, it needs to be a very good piece of work, or you’re going to lose your job.’

 

Is that helpful?

 

Regards,

XX

*****

 

訳文を改定します。

 

意味がとれない訳:

10年に一度しか出版物を書くことができないのであれば良質にするほうがよいだろうが,質の低い出版物を数多く出すことは,本人にとっても科学分野にとっても有益であるとはいえない。

検討中の訳:

10年に一度しか出版物を書くことができないのであれば良質にすべきだが,質の低い出版物を数多く出すことも,本人にとっても科学分野にとっても有益であるとはいえない。

 

もう少し改定中の訳(元の英文に忠実に):

10年に一度しか出版物を書くことができないのであれば良質にすべきという忠告を受けるだろうが,数多く出す場合であっても,質の低い出版物を出すことは,本人にとっても科学分野にとっても無益である。

 

最後に調整した、ややあっさりした訳:

10年に一度しか出版物を書くことができないのであれば良質にすべきだが,数多く出す場合であっても,質の低い出版物を出すことは,本人にとっても科学分野にとっても有益ではない。

 

 

さらに、サラッと言い換えてくれたネイティブによる英語も、書き留めたのでここに残しておきます:

If only one publication appears every 10 years, they may be advised, it had better be a good one. On the other hand, a large number of low-quality publications is not of benefit to the individual or the profession.

→言い換え

Producing only a few very high quality publications is risky; however, producing many low quality publications is also not beneficial.

 

 

「こういうこと」と言い換えるのがネイティブはやはり上手いですね・・・。

パラレリズムも綺麗・・・。

 

 

そして今回の英語の発見:

had betterは、実質的にはhave toと理解すると良い、と思いました。(誰でも知っていること、かな? ですが、自分の中で腑に落ちると、とても楽になります。)

 

一つ、英語の理解が深まりました。

 

(先の3語本の執筆中、説明しようと思って考えているうちに話言葉でshallはshouldであること、そしてshallをshouldに変えるとShall we have a break now?→Should we have a break now?と、友人同士の「~しちゃう?(Shall we…?)」からビジネスに適した「~しましょうか。(Should we…?)」へと変わることを発見して自分の中で腑に落ちたことがありました。今回はそれに似たような機会でした。)



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