ユー・イングリッシュ

ユー・イングリッシュ 中山裕木子 ブログ

ACSスタイルガイドのお話


大好き!という熱意だけではじめたACSスタイルガイドの翻訳企画、なんとか形にすることができました。

本当にありがとうございました。

 

 

過去にACSスタイルガイドのページをはじめてめくったときのことは、今でも思い出します。

 

「答え」が、あるじゃないか・・・。

 

工業英検1級を取得し、技術英語の書籍(技術系英文ライティング教本)を出版しても、まだなお模索を続けていた私にACSスタイルガイドは希望の光を与えてくれました。

 

単にSVOや能動態だけではなく、日々の細かい英語の工夫に対して、技術翻訳者および技術英語講師としてもっと自信と説得力が欲しかった私の要求を満たしてくれる書籍でした。

 

のちには、ACSスタイルガイドとは、導いてくれるものである一方で、そのスタイルガイドの「読み方」を自分なりに工夫することで、自身のスタイルを確立していくことができると気づきました。

 

時にACSスタイルガイドに背中を押されながら、また時にはACSの指針に対抗して自分のスタイルへと発展させながら、非ネイティブとして、納得のいくライティングスタイルへと発展させていくことができました。

 

ACSスタイルガイドでは、英語の書き方の指針について、特に次の章に明快に記載されています。

 

1 科学分野の表現技法

4章    文体と語法

 

2部: 表記の指針

9章    文法,句読点,スペル

10章  編集スタイル

11章  数量表記,数学的表記,測定単位

 

 

ACSスタイルガイドには、例えばハイフンの説明など、卒倒しそうなくらいに多くの例が出ています。

 

 

このままハイフンの説明と例示が10ページ続きます。

 

これが英文ですと、かなり情報が探しづらい。また今度調べよう、ここに載っているから大丈夫、とつい読み過ごしてしまうことが実際にありました。

 

しかし、訳書になったら、前よりも情報が見つけやすくなったと思います。

 

そして英文300ページの「ACSスタイルガイド」が、外観・中身・そしてお値段まで、コンパクトにまとまったと思っています(和書のページ数は450ページ程度あります)。

 

ひと言感想を下さった研究者の方が、日本語はやっぱり英語より読みやすい。流し読みができる。やっぱり楽になりますよ・・・とおっしゃってくださいました。

 

また、例えばマクマリー有機化学のように、日本には化学の良書の訳本が多くあり、それが日本の発展を支えてきたんです。ですからきっと、研究者の役に立ちますよ、ともおっしゃってくださいました。

 

少しでもお役に立てると思うと、とても嬉しいです。

 

また、手に取りやすくなることで、ACSスタイルガイドの英語の書き方の指針が日本で広まるといいなと考えています。

 

 

ACSスタイルガイド   アメリカ化学会 論文作成の手引き

 

 

スタイルガイドに推奨される決まりごとをまずは「知る」ことが大切と考えています。

知ったその先は、自分のスタイル(読者のスタイルに鑑みた自分のスタイル)に合わせながら、取捨選択をして、発展させていけると思います。

 

 

That was my big project last year.

 

非常に苦しかった一方で、非常に幸せでした。

 

 

 

お世話になった方々にようやく書籍をすべて送り終えて、面談などを通じて助けてくださった方々にも、ご挨拶をすませることができました。

 

 

「出版できて良かったですね!」と笑顔で言ってくださったことで、半年前の苦しかった自分がよみがえりました。

この経験を経て自分が乗り越えたこと、自分が失ったこと、そしてなによりも、確実に時間が過ぎた、ということを実感していました。

 

 

 

さて、振り返るのはこれで終わり!  また前を向いて、歩いていこう。

 

 

みなさま  Enjoy the long holidays and the start of the new era!

(ユー・イングリッシュも明日よりofficiallyに10連休をいただきます。どうかみなさまお気をつけてお過ごしください。)

花便りの4月


各地で花便りが聞かれるようになる4月に入りました。

みなさん心新たに新しい一年を開始されていることと思います。

 

事務所から見える桜は、年数を経ても、毎年同じ姿を見せてくれています。

 

ユー・イングリッシュは創立5周年を迎えました。

 

特許本(外国出願のための特許翻訳英文作成教本)の出版年(2014年)に、それまでの個人的な特許翻訳フリーランス10年に区切りをつけて、会社を設立しました。

 

特許本の出版により特許翻訳の指針ができたので、今度はそれを実践するチームを作りたくなったためです。

また、指針を広めていくためにも、一個人ではなく法人格が必要と考えたためです。

 

 

それから5年間。

法人にして良かったこと、書籍を出して良かったことは、賛同者が様々な形でユー・イングリッシュに関わってくださったこと。

 

 

 

5年間で変わったことは、色々な新規のプロジェクトに取り組んだこと。

自分の持てるものを使って世の中の役に立つと考える仕事に、積極的に取り組んできました。

 

 

そして5年間、変わることがなかったのは、常に特許翻訳を軸に活動を続けてきたこと。

 

 

私の原点は、特許翻訳。

冷静に特許翻訳に向き合う自分は、最も自分らしいと感じます。

今なお、特許翻訳に心を奪われるのです。

それは例えば翻訳メモリを使おうと、使うまいと、全く、同じことです。

翻訳時のレイアウトが変わるだけのことで、特許翻訳の本質はみじんも変わらない。

到達点(目指すべき翻訳結果)を、しっかりと見ることが重要と考えています。

 

 

特許翻訳の品質は、何があっても、死守すべき。

現状維持は後退以外の何ものでもないため、常に改善を求めて、取り組んでいく必要があります。

 

そして特許翻訳では何が重要か、どこの部分にどのような致命的な誤りがあってはいけないか、そのことを理解することも非常に重要です。

 

元の和文を最大限に忠実に読み解き、それを適切な英語で書く、そのことにより、円滑な審査と強い権利の取得を少しでも助けられるよう、日本の企業様の利益となることができるよう、最大限に努力をしたいという気持ち、このことは、企業活動での5年を経て、ますます強まるばかりです。

 

 

 

今年はユー・イングリッシュ翻訳チームの完成と強化を目指したいと考えています。

各人が改善を目指し、持てる力を合わせることができれば、強いチームとなります。

 

 

ご自分の持てる力で世の中の役に立つ力、そんな力をユー・イングリッシュにお貸しくださる方は、どうぞこの先のご協力をご検討いただけますよう、お願いいたします。

 

 

また、ユー・イングリッシュのチームは特許翻訳のキャパシティーがようやく少し広がってきたと感じますため、日英特許翻訳をご依頼をいただけますお客様にも、この先是非にお声をおかけいただきたいです。

 

 

本年度もユー・イングリッシュをどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

 

新刊(訳書)のお知らせ


昨年から取り組んできたもう一つのプロジェクト、翻訳本を出版させていただきました。

どうか皆さまのお役に立てますように。

 

ACSスタイルガイド   アメリカ化学会 論文作成の手引き

 

ACSスタイルガイドは、日英技術翻訳者で技術英語講師である私の愛読書です。読むと頭の中がクリアになり、まっすぐに英語を書き進めることができます。根拠をもって、理系学生の論文英語を指導することができます。

 

ACSスタイルガイドのページをはじめて開いたときの感動は忘れられません。日々悩んでいた英語の書き方に「答え(=指針)」があったことに驚き、一気に読み進め、私のACSスタイルガイドは付箋だらけになりました。指針があることを知ったことで、どのような場面でも、自分自身で英語の書き方を決めていけるようになりました。

 

科学技術分野の情報を世界に発信するためには、正確、明確、簡潔に英語を書くことが必須です。しかし、文法的な正しさに加えて、どのような英文を書けば情報が早く的確に伝わるのか、どのようなスタイルで英語を書くべきかということを日本で学ぶ機会は限られています。その結果、難しく複雑に書いてしまったり、数や表記の規則を知らずに書き進めてしまったりすることがあります。

 

一方、欧米諸国には、「スタイルガイド」と呼ばれる「文書の書き方の指針を示す書」が数多くあります。各学会や企業、団体が「英語の書き方」を定めたもので、その中身の大半が共通しています。いずれのスタイルガイドにも、「読み手が迷わないように書く」というまっすぐな指針が示されています。

 

そのような数あるスタイルガイドの中でも、特に明快に私たちを導いてくれるのが、アメリカ化学会による「ACSスタイルガイド」です。化学分野の例文が使われていますが、そこに記された内容の多くは、分野を超えて幅広く実務文書に活用できます。

 

例えば4章「文体と語法」には、明確で簡潔に書くための表現のコツが詳細に書かれています。9章「文法、句読法、スペル」、10章「編集スタイル」、11章「数量表記、数学的表記、測定単位」には、正確に書くための表記の決まりが詳細に書かれています。他の章では、英語論文を書くのに役立つ内容(第1部の1章、2章、3章他、第2部の14章から16章)、化学分野特有の表現の決まり(12章、13章、17章)が記されています。

 

全体構成は次の通りです。

1 科学分野の表現技法

1章    科学出版における倫理規範

2章    科学技術論文

3章    編集プロセス

4章    文体と語法

5章    Webシステムによる投稿

6章    査読

7章    著作権についての基本知識

8章    マークアップ言語と構造化文書

 

2部: 表記の指針

9章    文法,句読点,スペル

10章  編集スタイル

11章  数量表記,数学的表記,測定単位

12章  化合物の名称と番号

13章  化学の通則

14章  参考文献の記載方法

15章  図

16章  表

17章  化学構造式

18章 文献一覧

 

本来であれば、英語で書かれたスタイルガイドを日本語に訳す必要はないかもしれません。英語のまま理解したほうが明快でわかりやすいこともあります。しかし、ACSスタイルガイドに書かれている情報を取り出しやすくし、多忙な研究者 や実務家の方々の時間を節約し、より多くの日本人にACSスタイルガイドを手にとっていただきたいと考え、同書を翻訳することを志願しました。

 

スタイルガイドを使って、まずは、書き方の規則や推奨される英語の技法を「知ること」が大切と考えています。その先は、自分自身で取捨選択することで、最適なスタイルを確立できると考えています。

 

英文を書かれる研究者の方々や実務家の方々が、本スタイルガイドの内容を活用され、自立した英語執筆者への一歩を踏み出されることを願っています。

 

2019年3月27日 中山  裕木子

 

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