大学や企業様で論文や他の技術文書のテクニカルライティングの講義を担当していると、資料にこれを入れたら便利に説明できるなと思うものや、受講生にとってこれがないとわかりにくいな、などと、自分が使いたくて欲しい資料が出てくることがあります。
いつも講義で口頭で繰り返しているポイントや、受講生が誤りやすい点については一定のパターンが見られるので、それのリストがあるほうが受講生にとって定着しやすく、わかりやすいと思うわけです。
特にずっと必要と思ってたのは、ぱっと見てわかりやすい「テクニカルライティングのルール30」です。
「ルール10」などは別の書籍などにもあると思うのですが、もっと日本人向けにアレンジした30くらいの数のルール。
また、テクニカルライティングを全く知らない人も、ベテラン上級者も、初級から上級までがいつも参照して心に留めたいルール。
これまでも色々資料は作ってきましたが、ルールをリストにしてこなかった。
思い立ったら、さっさと作ろう。
朝の1時間ほどかけて、作ってみました。
1つ1つをもう少しわかりやすい文言にして、あとは一例ずつ、例示のページも入れようか。
3つのC(正確・明確・簡潔)のためのライティングルール30
- be動詞を減らして動作を表す動詞を使おう
- 能動態を使おう。受け身は必要最小限
- イディオムを避けて動詞一語で表現しよう
- 現在形で「今」を大切にしよう
- 否定のnot文を減らそう
- 複文を避けてシンプルな単文を作ろう
- 今と関係のある過去のことには「現在完了形」を使おう
- 過去形は実験報告に使おう
- SVOOとSVOCは捨てよう
- There is/are構文を捨てよう
- 仮主語It is…や仮目的語itを捨てよう
- 句を文頭に飛び出させず、主語から文を開始しよう
- 表現をそろえて並列主義の文構造を大切にしよう。
- 名詞の誤りをなくそう(初級:数える名詞の単数形の 誤り、中級:特定できるのにaの誤り、上級:不要なthe)
- 前置詞by, with, ofの誤りに気をつけよう
- 不要な句や単語を一語でもなくそう
- 省略形(doesn’t don’tなど)はやめよう
- 裸の代名詞Itをやめよう
- 読み手に合わせた簡単な言葉、かつ明確で具体的な言葉を使おう
- 話し言葉で書くのを避けよう。get→obtain, do→具体的に, hard→difficult, just→simply
- 1つの文を1つのメインアイディアに絞ろう *絞る方法は接続詞、関係代名詞、コンマ挿入
- 短い文に区切って書いてから、つなげて文を整えよう。*つなげる手法は主語がそろえば等位接続詞and/butでつなぐ、接続詞although, becauseなどでつなぐ、関係代名詞でサブ情報としてつなぐ
- 主語をそろえて視点を定めよう
- 既出の情報、読み手が知っている情報を主語に使おう
- 接続の言葉(Therefore, Accordingly)を捨て、文同士を内容でつなげよう
- 「~のため」にbecauseを多用せずに他の表しかたも知っておこう *例:関係代名詞非限定、単にandでつなぐ
- 初出の略語はスペルアウトして、略語を丸括弧内に続けよう
- シリアルコンマ(A, B, and Cのandの前のコンマ)は明確性が増すので使おう
- 数字表記の決まり(1から10をスペルアウト、単位記号と数値の間にスペースを空ける、余暇)
- コロン(:)とセミコロン(;)の違いを理解しよう。 *コロン(:)は「大から詳へコロンだ」と覚えて使ってOK。コロンの前で文が独立するように使う。セミコロン(;)は2文をつなぐ、コロンでわかりにくい列挙にてコロンの代わりに使う
ちょっと長いなあ。ぱっと見て頭には入ってこないので、やはり、分類の記載が必要か。
前から【動詞が鍵となる文の組み立て】【誤記・不明瞭を無くす】【文と文のつながり】【表記法】に分類できるようにしています。
もう少し工夫します。
朝一番は頭がさえているので、例え忙しくても、10分でも30分でも、少しクリエイティブなことに私は時間を使いたい。
メールの返信で朝一番の時間が終わってしまわないよう、メールやその日の業務連絡などは、前日のうちに処理しておきます。
30のルール、毎朝の細切れ時間でもう少し改善をしたいと思います。
改善が終われば、日々の大学講義と企業様向けセミナーで受講生に参照してもらおう。
受講者にとって便利なリストになるといいなと思います。