前にふと書き留めていたけれど、放置していたことを思い出しました。
出版に関してです。
書籍を出すとき、著者は我が子を世の中に送り出すような気持ちになります。
大丈夫?うん、大丈夫!頑張って!でも不安だね。
ここまで、大切に、大切に向き合ってきたから、きっと、あなたは大丈夫。
そんな気持ちで、世の中に、送り出します。
そしてその書籍が、読者の方々にどのように受け止められているかは、怖いようで、しかし気になるところでもあります。
身近な人が個人的に感想をくれると、とても嬉しい。
そして身近ではない人の感想も、知りたいと思う。
しかし、感想は、促さずにじっと待つほうがよい。
基本的に「感想を書く」というひと手間をかけてくださる方は、その本を読むことで、何らかの方向へ心が動いた方です。それがプラスであれ、マイナスであれ、心が動いた方が感想を発したり、書いたりしてくださいます。
例えばアマゾンのレビューというのは、そうそう簡単につくものではない、と私は考えています。
そのことは、一番はじめの書籍(2009年)から、経験ずみです。
レビューは、長年かかり、少しずつ、積み重なるものです。
したがって、逆に新刊で、初版の販売部数がそれほど多いわけではないのにすぐに複
数のレビューがつくというのは、少し怪しい感じがします。
つまり、「頼まれ書評」であるかもしれない、という場合があるかもしれません。
私も実際、レビューを頼まれたことが何度かあります。
ひとつは、あまり世の中を分かっていなかった若いころの経験。
複数の書籍を出されている業界の大御所の方から書籍を購入しました。初対面の私に書籍をその場で販売されたのに少し驚きましたが、言われるがままに購入しました。
「読んだら感想をメールして」、と言われました。
わりと生真面目だった私は、大御所の方ということもあり、やや大げさとも言える感想を個人あてにメールしました。
そうしたら、返信のメールで、そのままアマゾンに載せてくれないか、と頼まれました。
当時は断ることができず、言われるがままに載せてしまいました。
しかし、数年たったとき、自分のレビューが上位にあることを知り、それを見て買う人に対して不誠実であると思って削除しました。
削除するやいなや、著者から、お電話が入りました。
削除されたのだけれど、心あたりはある?・・・と。
何を目的として書籍を出すのか・・・?
「本」と言うのは、お金のために書くものではないのです。利益を得たいのであれば、執筆ではなく、別の仕事をしたほうがずっと割がよい。「本」というのは、自分が伝えるべきこと、あふれる想い、そして読者の役に立つと著者が信じる内容を表現するものです。したがって、その目的とずれる何かを執拗に追い求めてはならない。
当時は自分が本を書くとは夢にも思っていませんでしたが、レビューの操作だけは、私は何があってもしない、と誓った瞬間でした。
もうひとつの経験は、数年後、違う業界の遠い知人にレビューを頼まれたことです。
素敵なアナウンサーの彼女が、星1つのレビューが付いて、それを緩和したいから星5つをお願い、と連絡してこられました。
しかし、申し訳ありませんが、お断りしました。
そのとき私がその方に伝えたこと。
「○○さん、嫌われる勇気、ですよ。星1つだって、いいじゃないですか、嫌われてこそ価値がある。レビューが無いよりも、ずっといい。」
失礼なことを言ってしまったかもしれません。
しかし、私はそのとき、すでに本音を言えるようになっていました。
そして本音を言うことで嫌われたとしても、不誠実になるよりもよい・・・。
書籍の書評は、自然に発生するものであると考えています。
レビューは、寝て待つのです。
新著を出したとき、私は、お世話になった人にお送りしたり、身近な人にプレゼントしたりすることがあります。
その本を出版するにあたって、この方に感謝したいと思う方に、自腹を切ってお送りします。
それから、最近ご挨拶できていないな、どうしておられるかな?と気になっている仕事関係の方にも、お送りしたり持参します。
何もないのになかなかご連絡はできないですから、会いたいなと思う人や、ご連絡をくださっていたのに当時は応答できなかったなと思う方、またどうしておられるかな?とご挨拶したい方に対して、自分の新著をネタにして、その方のご様子を伺いたい、というのが目的です。
新著とのつきあい方は、そんな感じです。
そのようなわけで、世の中に送り出した書籍を暖かく見守りながら(できれば出版を機に、もうその書籍のことは忘れたことにして)、良いレビューも悪いレビューも、書籍を手にとってくださったことに感謝をしながら、受け止めたいと思っています。
丁度2冊目の3語本(英語は3語で伝わります【どんどん話せる練習英文100】)を出した直後に、このような内容を書き留めていました。
今日久しぶりにその本のアマゾンのレビューを目にすることがあり、レビューの内容を受け止めながらも、目的の読者に拙著が届いていることが確認できたので嬉しいと思いました。