少し苦しい翻訳案件を、担当していました。
何年たっても、時に、このようなことが、あります。
「この案件、苦しい」、と思う日英特許翻訳の案件。
机にかじりついて訳して、訳しても、訳しても、自分の中で、矛盾が生じてきて・・・。
(和文を書いた人の思考や癖を理解するのに、時間がかかることがあります)。
時間との闘いでもあり、品質との戦いであり、それはもう、自分との、戦いです。
「もっと頑張れ、自分!理解しなさい、自分!」「頭を使いなさい、自分!」
「書いた人に寄り添うこと、その人の和文の癖、思考回路、書きたい内容、表して欲しいと思っているであろう内容に、しっかりと、寄り添うこと。」
自分を鼓舞して追い詰めながら、slow, but steadilyに、理解を深め、英語を改善する。
時に、極限の状態に入ってきます。
気がつくと、「下」ばかりを向いている自分。翻訳原稿とパソコン画面に張り付いて、脇目をふれずに戦っている自分。夢中で、必死・・・。確実に「黒い」オーラが出ていると思います。
今回、「もうダメだ・・・」、と思った瞬間に、ふと少しだけ、上を見上げました。
そうしたら目に入った、次の言葉。
「基本に忠実に」そして「既成概念の枠を超えた仕事を目指す」
この言葉に、あるとき私は共感して、自筆で書いて、目の前のカレンダーに、貼り付けていたのです。
この言葉を見た瞬間、すーっと、平常心に、戻りました。
心が、軽くなりました。
そう、「基本に忠実に」
これまで通り、「基本に忠実に」行えば良いんだ。
気を張ることはない、自分を忘れることもない。
必死すぎて我を忘れそうになっていた自分に、平常心が、戻ってきました。
その後、とても落ち着いて、冷静に、仕事ができました。
そうすれば、分からないと思っていたことが「すーっ」と理解できるようになり、いつもの仕事が、できました。
ふと上を見上げてみた。そうしたら、冷静な自分がいた。
本当に、「光」が差したような、気持ちになりました。
(翻訳業は、本当に、いつまでたっても、修行・・・。その修行には終わりがあるのか・・・?日々進歩する技術を扱う以上、終わりはないのでしょう。)
さてあとは、「既成概念の枠を超えた仕事を目指す」こと。
これは私一人ではなくて、一緒に同じ方向を目指せる方々と、一丸となって、成し遂げたいものです。