2024年も、富山高等専門学校にて「論文執筆・プレゼンテーションの英語」を担当させていただきました。

富山高専様には2012年~2015年にもお邪魔していましたが、ここ最近、再度講義の機会をいただけたのは、大変嬉しいことでした。
さて、今回の富山高専の皆様は機械翻訳を使って英文を作成されました。そこで、機械翻訳ツールの使いこなし方から、ChatGPTの活用方法まで、広く、お話しさせていただきました。
大学様や高専様にお邪魔する際、ChatGPTとの付き合い方を確認するようにしています。私がお邪魔するのはいつも理系の学部であるため、テクノロジーを活用することに対してオープンです。活用して技術をさらに発展させること、技術を使いこなせる人材になること、に焦点をあてられることが多く、使いこなし術を講義に入れても大丈夫、と言ってくださいますので、私の講義では、後半にChatGPTを活用して講義を進めさせていただくことが多くなりました。GPTもどんどん進化するものの、私達も少しずつ、過度な期待をすることなく、しかし大活用するというスタンスで、冷静に扱えるようになってきたように思います。
さて、事前提出いただいた英文から、以下のチェックポイント10を富山高専の皆様用に作成しました。
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★2024年富山高専のみなさんへ これだけはマスターしたいチェックポイント10 ★
1.受動態が多すぎないか
→能動態に変更。主語は人・物・概念
2.主語から文章が開始されているか(強調したい語を前に置くのはOK)
→主語から文を開始する。前置詞句は強調したい場合に限る
3.1文が14ワード以内、もしくは区切れる箇所が14ワード以内で構成できているか
→文を区切る。つなぐ場合にも、一息付ける箇所を意識する
4.時制に過去形を使い過ぎていないか
→現在形・現在完了形を使う
5.数える名詞の無冠詞単数形がないか
→a/anまたは複数形を検討。theの場合もある
6.theはthis(これ), a/an/無冠詞はany(いかなる~であっても)で置きかえても意味が通るか
→意味が通らなければ、theをやめる、a/an/無冠詞にtheを付す
7.前置詞が適切か(例えばbyの文法誤記)
→適切な前置詞または文構造を変える
8.文同士の結束性が高いか
→2文目以降、できるだけ既出の情報を主語にする
9.文が情報語(冠詞・前置詞や代名詞をのぞく語)を主体として構成できているか
→不要語を一語でも減らす
10.仮主語it is構文や仮目的語make it possible、there is/areを使い過ぎていないか
→発音もしにくいので、単純なSVOに変更する。主語は無生物が可能
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添削サンプルをご提示しましたところ、ご自身でどんどんブラッシュアップされる姿が見られました。
私の授業は、ここ2年ほどで、過去のその場で「講師がリライトする」から、その場で「講師がアドバイスして、学生が手を動かして修正する」授業へと変更しました。学生にとっては手を動かして、話を聞いて、(加えて完成した英文をNatural Readerでシャドウイングして)、と忙しい授業ですが、ドキュメントをライブで共有しながら行う授業に変えてから、この形態が可能になったので、良かったです。
英語を書く・話すことができるようになるための授業なので、できるだけ多く「書く」「話す」体験をしていただきたい。
英語はピアノといった楽器と同じで、見ているだけではなかなかできるようにならず、手を動かして、口を動かして、はじめて少しずつできるようになるためです。
コロナ禍を経て、インターネット回線が教室に完備されたこと、学生に「PCを持ってきて」、と気軽に言えるようになったことは、大変ありがたい変化です。
さて、富山高専の皆様が当日の英語プレゼンテーションを体験され、世界に羽ばたく力を身に付けられる一助となれたことを願っています。