ユー・イングリッシュ代表取締役 中山 裕木子のブログ


I want you to find the beauty of English and love English.

  日常, 英語表現, 講師 

Love TOEIC®

昨今、TOEIC® L&Rを楽しんでいる自分がいます。


つい先日も受験しましたら、文法問題で、動詞undergo(~を経験する)、feature(~を特徴とする)、transform(~を変化させる)がなんと縦並びで、連続した3つの問題に出てきました。このundergoは私が普段、英語論文や特許といったテクニカルな英文を書くときにも重宝する動詞です。featureは製品や技術の特徴を簡潔に伝えたいときに、This printer features its compact size and high-speed processing.(この印刷器はコンパクトで高速印刷可能です。)のように使えます。The size of this printer is compact, and the processing speed is high.よりも簡潔に表現できます。transformは「form(形)」を変える、という意味で「変化させる」を表す具体的な動詞で、例えばArtificial intelligence will transform society.(AIが社会を変えるだろう)といった場合に使うことができ、Artificial intelligence will bring about changes to society.といった表現よりも力強く、一度で世界を180度変えてしまうことが連想できる言葉です。「座標の変換」などにも使えます。少し難しめの専門用語「フーリエ変換」はFourier transformが定訳です。


私はいつも英語の動詞に着目して英文を読みますので、このような明快で力強い動詞を見逃すことはなく、今回のTOEIC®では、文法問題やリーディング問題における明快で力強い動詞を沢山楽しむことができました。例えば、リーディングでは、「The system is easier to maintain.」といった表現が登場(開示の制約上少しぼやかしています)。選択肢には「Maintenanceがeasyになった」という主旨の文があり、maintainという動詞とmaintenanceという名詞の品詞変換をしながら、選択させる良問がありました。「メインテナンス」という日本語がありますが、「メインテナンスしやすい。」と表現するとき、The maintenance of this system is easy.という発想から、あと一歩、動詞を活かしてThis system is easy to maintain.と言えると素晴らしいのではないでしょうか。


ちなみに、このThis system is easy to maintain.は、「難・易」の場合に許される、「to be maintained」にならず「to maintain」にできる例外的表現として文法書に載っていることで比較的有名と思われ、文法の項目でも出題される可能性があるでしょう。より簡単な例文でいうとThis book is easy to read.ですが、本は「読まれる」ためにThe book is easy to be read.というように受動態になりそうだけれど、そうではなく、The book is easy to read.という能動態になるのです。


この「なぜ受動態にならないか」の議論を私は過去にもしてきましたが、つい最近も、ある米国人の方と同じ議論を行いました。その方は、「解決法はなんだと思う?説明できる?」とおっしゃいました。私にはいつも説明する方法がありますので、「はい、自分なりの説明があります。」といいましたところ、その方の説明はこうでした。The book is easy to read.は、The book is read easily.とすることで説明がつく、とのこと。「easyとeasily」の品詞変換をしたところに「どうだ!」という感じがありましたけれど、しかし、詰め寄る私。「確かにそうなのですが、しかし「本が読みやすい」とか「読みづらい」とかいうときは、実際は自分の能動的な感覚なので、受動態にはならないのではないですか?」と。つまり、変換後のThe book is read easily.では、読む人は「一般の人」なのではないですか?そのため、The book is easy to read.は自分の感想であることが多いから、やはり、書き換え前と後で意味が少し異なるのでは?・・・と。

そして私の説明は次の通りです。The book is easy to read.やThe book is difficult to read.が可能なのは「難・易」の場合だけなのです。「難・易」とは何か?それは人間の判断(感覚)です。そこで、The book is easy to read.は、The book is easy (for me) to read. The system is easy (for us) to maintain.というように、「for + 自分(人)」が隠れていると思うのです。つまり、It is easy for me to read the book.やIt is easy for us to maintain the system.の視点を「自分」ではなくthe bookやthe systemに整え直した形と考えてきました。

このこと(for me, for usを加えて考える)は自分としては納得しており、相手も納得してくれることが多かったですが、文法書などには記載がありません。独自の解説か?と思いつつも、そのネイティブの方も「makes sense(理にかなっていると思う)・・・You’re right, probably.」と同意してくださいました。長くお会いしたいと願っていたこの方にお会いできたその日、このような文法談議だけでなく、様々な仕事のお話しもさせていただくことができました。


さて、TOEIC®に戻りまして、2時間の試験で見つける楽しい単語や表現を記憶に残してメモしています。試験に苦しむ(?)理系学生に向けた資料作りに活用したり、技術英語の授業のウォームアップとして最新の頻出英単語を伝えたりすることを目的として受験をはじめたTOEIC® L&Rですが、自分自身がすっかり楽しんでいるのが現状です。

TOEIC®で見つけた英語の魅力もまたお伝えしてみたいなと思います。