ユー・イングリッシュ代表取締役 中山 裕木子のブログ


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  セミナー, 日常, 英語表現 

論文アブストラクトのパターン―4月のWebセミナーより

大学でのWeb授業がはじまりました。

 

1週間、3つの大学で授業を行いまして、まずはzoom授業の特徴をある程度把握することができ、また自分の授業スタイルも確立できそうに思っています。

 

今週の反省は、zoomで音声が途切れやすいので、通常の授業よりもゆっくり・はっきり話すこと。

学生にはイヤホンの使用を促すこと。また、できる限り、合わせて共有画面にタイプして視覚からも理解を促すこと。

また、クラスメートに自宅を覗かれたくない人もいると思うので、それから講義スライドのキャプションを受講者が取るときの映り込みを避けるため、受講者が顔出しをするのは、私は講義の前後、挨拶をして皆で集まるときだけ、としています。受講者の顔出しに関しては、まだ課題です。

 

受講側の学生も、慣れない環境で大変でしょう。

自宅でのリラックスした環境と、講師とのマンツーマンに近いダイレクトな授業、というミスマッチに慣れるまでやや大変かと思います。

zoomの利点を活かしつつ、できるだけ学生がストレスや違和感を覚えることなく、参加しやすく、学びやすい授業にしたいと考えています。

 

 

さて、学生に論文アブストラクトの書き方を指導することがあります。

ライティングのコツを伝えつつ、各自の分野のアブストラクトを持ち寄ってもらって議論をしたり、皆でクラスメートの異分野の論文を読むことも取り入れます。

 

ライティングに加えて、読んで真似たいパターンを探してみる、というインプットのほうも平行して行うべきと考えています。

持ち寄っていただくアブストラクトは「読みたいもの」ならどれでも良いのですが、インパクトファクターの付与されたジャーナル(例:Nature)に掲載された論文は、表現をそのまま吸収したいものが多いです。

一方で、論文によっては(おそらくジャーナルによっては)、反面教師のようになり、「このようには書かないでおこう」ということになり、表現を吸収する授業から、表現をリライトをする授業に早変わりするような場合もあります。

いずれにしても、現実の英語論文を読むことは大切と考えています。

読むことを通じた学生の気付きについても、大切にしたいです。

 

 

さて、英語論文のアブストラクトの書き方は様々ですが、内容を展開するためのある程度の英語表現のパターンが見えてくることがあります。

 

アブストラクトの内容は、原著論文の場合、「課題→理論/実験→得た知見→結論」です(ACSスタイルガイドより)。

 

そこで、およそ次のように内容が展開されます。

 

*****

冒頭1-3行:導入・課題【現在/現在完了】

中程:行った実験/理論【過去/現在】

終わり:得た知見や結論/今後【現在・助動詞や推論を表す動詞】

*****

 

「動詞」に着目をして、前から前から英語を読むという方法で行うと、素早く読むことができます。

 

動詞を見るときには同時に「時制」と「助動詞(あれば)」も目に入ります。

頭の中で動詞にハイライトを付けてざっとアブストラクト全体を見るだけでも、アブストラクトのどこに何が書いてあるかがおよそ分かります。

 

日本語のように漢字を頼りに斜め読みすることが英語ではできませんが、代わりに動詞を探して全体を眺めること、そして全体を把握したら、読みたい文を前から前からぶつ切りにして読むことで、素早く読み進めることができます。

 

●動詞に頭の中でハイライトをする

 

 

 

・・・

このような「英語の読み方(上のアブストラクトサンプル付き)」を、先の4月:クラリベイト主催Webセミナー『【研究生活でつまずかないために!】あなたが「本当に読みたい」英語論文を早く的確に探す方法』にて、提示させていただきました。

 

セミナーでは、英語は前から前から読む、ということをお伝えさせていただきました。

 

録画が公開されていますので、よろしければご覧いただけましたらと思います。

 

 

https://youtu.be/3iVESJqdxD8

 

 

本セミナーは、秋に第2弾を担当させていただく予定があります。個人的には、秋に向けて、種々の論文から英語表現のテンプレートを作りたいな、と考えているところです。

 

 

さて、無事に学生達に会えた5月。

 

研究者の方々が日本の素晴らしい技術を世界に発信されるお手伝いができるよう、私もエンジンをかけて、努力していきたいと思います。