ユー・イングリッシュ代表取締役 中山 裕木子のブログ


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英語の一般書いろいろ(+ACS, AMAのこと)

今回、英語の一般書を書いたため、英語の本って沢山 出ているなあ、と久しぶりに、少し「英語事情」を垣間見てみるようなことも、してみました。

多くの英語本が出ていることに、驚きました。

 

過去にはそのような英語関係の一般書も結構読んでいたのですが、最近はめっきり、愛読書が、偏っていました。

 

ここ数年の心トキメク愛読書は、変わらず、『ACSスタイルガイド(The ACS Style Guide)』です。

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本当に、愛して、やみません。

 

とても細かいところが載っているところが、好きです。

 

●例えば、e.g.を私は、丸括弧の中だけで、使っています。つまり、本文中では、使いません。

特にACSにしたがっていたわけではないけれど、それが良いと自分で思って、そのようなスタイルに決めていたところ、ACSにも、次の記載がありました。

 

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The ACS Style Guideより:

➤ Use “e.g.”, “i.e.”, “vs”, and “etc.” only in figure captions, in tables, and in parentheses in text. Elsewhere, spell out “for example”, “that is”, “versus”, and “and so forth”.

 

e.g., i.e., v.s, etc.などは、図面の説明(figure captions)、表(tables)、本文中の丸括弧( )でのみ使う。それ以外の箇所では、for example, that is, versus, and so forthなどとスペルアウトする。

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●次に、結構多くの翻訳者の方々が、参照符号が2つある時に、systems 12, 13のように、符号を羅列しているのを目にします。それが正しいのかどうかの議論は避けて、私は、systems 12 and 13と、普通にandを使ってつないでいます。

なお、丸括弧を使う場合には、systems (12, 13)のように、andを省いてコンマでつないで、書いています。

これも、自分のスタイル(というか、納得のいく形)として、これまで採用してきましたが、このことに関連して、ACSには、次の記載があります。

 

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The ACS Style Guideより:

➤ Use a comma between two reference callouts in parentheses or as superscripts.

Lewis (12, 13) found

Lewis12,13 found  (*12,13は上付き)

When the reference numbers are on the line, the comma is followed by a space;

when the numbers are superscripts, the comma is not followed by a space.

 

●丸括弧に入った場合に12, 13のようにandが不要になる。ちなみに、スペースは必要。12,13は×。12,13(スペース無し)は、上付き文字の場合。

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丸括弧以外にも、上付き文字の場合も、andではなく、コンマでつなぐ、ということが記載されています。

また上付き文字の場合、符号同士の間には、スペースが不要です。

 

つまり、12, 13や12,13とandなしに書けるのは、上記の場合(つまり丸括弧に入った場合、および上付き文字の場合)、と理解をしています。

 

さらには、上記「丸括弧に入った場合のand不要」の前には、ダメ押しの、次の記載もあります。かなり丁寧なスタイルガイドです。

 

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➤ When two numbered items are cited in narrative, use “and”.
Figures 1 and 2
refs 23 and 24
compounds I and II

番号符号付きの要素を説明文で使う時、andを使ってください。

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このような、一見細かい点、にも「答え」があることを知ること、そして、自分が納得できる表現を探して翻訳スタイルを決めていくことが、翻訳者として気持ち良く仕事をすすめていくために、大切だと思っています。

 

 

個人的に、ACSの次に好きなのは、AMAスタイルガイド(AMA Manual of Style)です。

こちらも大変細かい「知りたいこと」が載っていると思います。

 

たとえば、私は、「簡単な単語」がより好ましいと思っているため、日本語に「利用する」とあっても、utilizeは通常は使いません。

より平易なuseを使います。

 

したがって、セミナーでは、次のことを、伝えてきました。

 

●utilizeはuseで代用しましょう。

●使うのは、utilization factor, utilization rate(利用率)の場合くらいです。

 

なお、utilization factor, utilization rateという表現には、やはりutilizationのほうが適切だなあ、と思って使ってきました。例えば「光利用効率」などといった文脈で、utilizationを使ってきました。

 

このことに対して、次の記載を見つけた時は、嬉しかったものです。

間違っていなかった、と自分のスタイルを後押ししてもらったようでした。

 

 

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AMA Manual of Styleより:

Use is almost always preferable to utilize, which has the specific meaning “to find a profitable or practical use for,” suggesting the discovery of a new use for something. However, even where this meaning is intended, use would be acceptable.

 

– useはutilizeより通常好ましい

– utilizeはfind a profitable or practical use for it(有益または実用性を見出す)という意味

– その意味であっても、useが許容

(→つまりuseを使いましょう)

 

例文: utilizeが意味上正しい例

During an in-flight emergency, the surgeon utilized a coat hanger as a “trocer” during insertion of a chest tube.

 

Some urban survivors utilized plastic garbage cans as “lifeboats” to escape flooding in the aftermath of Hurricane Katrina.

 

Exception: Utilization review and utilization rate are acceptable terminology.

 

– 例外:utilization review, utilization rateはOK

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とても良い、スタイルガイドです。

 

 

さてさて、本日の本題は、英語の一般書でした。

 

春から担当してきた技術英語研修がそろそろ終盤に向かっていますが、そこでは、「皆様の今後」→independent self-learnerまたはindependent self-editor of your Englishへ、ということを目指して、英語の勉強を続けていただくための色々な書籍を、紹介しています。

 

その中で、「英語の一般書も読んでみたい」、というご意見があったので、自宅の本棚から、一般書もいくつか、持参してみました。

またこの機会に、最近の書籍も少し買ってみましたら、結構、面白かったです。

 

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英語の一般書、色々あって、目移りするかもしれません。

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書籍は、当たりでもハズレ(?)でも、とても、良い買い物だと、思っています。

目に付くものなんでも、買ってみれば良いと考えています。

 

私も一応の著者として、本が一日で書けるものではないことを知っていますので、著者の人生をかけた産物を手の届く価格で購入できること、とても素晴らしいことだと思っています。

 

したがって、それぞれの著者に敬意を持って、知識をもらえることに感謝をしながら、本を開くようにしています。