ユー・イングリッシュ代表取締役 中山 裕木子のブログ


I want you to find the beauty of English and love English.

  日常, 英語表現 

Collins COBUILDの明快英語

昨日のブログでは、2つの英単語の英英辞書定義を記載しました。

 

今日は、その英英辞書定義の中にある、3C表現、を考えたいと思います。

まずはもう一度、辞書の定義を読んでみましょう。

 

****

Serendipity

Serendipity is the luck some people have in finding or creating interesting or valuable things by chance. (Collins COBUILD)

****

 

****

Resilient

Something that is resilient is strong and not easily damaged by being hit, stretched, or squeezed.(Collins COBUILD)

****

 

英語の中身(意味)を、読んでいるとき、英語表現の「形」には着目できないと思います。

中身(意味)の理解に集中しているため、「英語の形」には注意を払うことができません。

 

 

意味がわかったところで、次に、「英語表現」、に純粋に着目して、読んでみましょう。

この表現のここは良い、ここはこういう意図があってこの表現になっていると思う、などとコメントをするつもりで。

 

 

Serendipity is the luck some people have in finding or creating interesting or valuable things by chance.

 

 

私の分析:

●まず気がつくのが、Serendipity is the luck…のluckの前のtheです。

これは、a luckでも、luckでもダメでしょう。”the luck”と特定しているからこそ、固く厳密な表現として表せる、また、「幸運」、をある人たちが備えている「能力」、のようなニュアンスで、表現が可能です。

 

●次に、the luck some people have in finding or creating…の動名詞、に着目。

to不定詞を使ってthe luck some  people have to find or create…ではダメなのでしょうか。

そうです、ダメなんです。(to不定詞でも間違いではないけれど、…ingがベター。)

the luck some people have in finding or creating…であるからこそ、英文が自然に流れます。

また、「見つける(finding)」「作り出す(creating)」であることで、to不定詞が表すような「これから行うことに対するluck」ではなく、「~という一般事実や行為におけるluck」、また「そういうことが可能になるluck」、として、表すことができています。

 

 

●最後に、interesting or valuable thingsの「or使い」に着目。

「面白いこと や 価値のあること」

orを使うことで、「面白いこと」そして「価値のあること」のいずれか一方、または両方、そしてさらには、その他の事柄すら除外しない、といった意味を表すことができています。

 

つまり、「面白いことや価値のあることなどを」、のように「など」の意味も含めて、表すことができています。

 

 

 

さて、 次の定義。

 

Something that is resilient is strong and not easily damaged by being hit, stretched, or squeezed.

 

●まず目につくのは、関係代名詞thatの使用。

限定用法にはthat、というテクニカルライティングの原則を守っています。

Something which is resilient…とwhichに置き換えてニュアンスを比較すると、thatを使うことで、スムーズに読めたり、先行詞を限定する「限定力」が強まることが感じられるでしょうか。

そのように感じられれば、あなたもテクニカルライター、と言えるかもしれません。

(なお、ここの関係代名詞は、非限定は決して使えない文脈です。)

 

●さて次に、シリアルコンマ。

A, B, and Cのandの前(または今回のようなorの前)のコンマを、「シリアルコンマ」といいます。

このコンマは、文法上は省略可能ですが、入れることで明確になるので入れましょう、と各種スタイルガイドが推奨しています。

この点も、スタイルガイドを読んだことがあるかどうか?明確性を大切にしているかどうか?、が問われるところでしょう。

 

●ついでにstrong and not easily damaged

誰でも理解できる平易な単語を使っています。

 

●さらにはhit, stretched, or squeezedのパラレリズム。

具体的な意味を持つ明快な動詞3つを、綺麗に並べています。

 

 

以上、Collins COBUILDの辞書定義の英語チェックでした。

 

Collins COBUILD、定義が明快で、使いやすい辞書です。

英英辞典の初心者にも、おすすめです。