先日、ブログで、拙著「外国出願のための特許翻訳英文作成教本」の増刷(第二刷)について、報告をさせていただきました。
http://www.u-english.co.jp/blog/?p=882
今日はそのことについて、追記をします。
はじめに話がそれるのですが、最近、講師業において、「ネイティブによる圧力(?)」、に遭遇することが、何度か、ありました。
一つは先日のTEDxKyotoUniversityでのことでした。もう一つは通常の大学授業でのネイティブ学生、もう一つは、また別の大学での論文英語勉強会での出来事でした。
いずれの状況においても、ネイティブの方々は「涼しい顔」をして、「自分達の英語表現はパーフェクト」「日本人は何を苦労しているのか」、というような圧力(?)を、かけてきます。(そんなつもりは無いのでしょうけれど。)
また、「英文法?SVOとかは分からないし知らないけれど、なんとなく、この表現がいーんじゃない」とか、「なんとなく、こっちのほうがいいよ、だって自分はネイティブだから」、などとも、言ってきます。
私がスタイルガイドを引用して説明する箇所は、ネイティブは自分の例文を作り、「こういうものですよ。ネイティブが言うのだから、間違いない。」といった、説明をします。
さてさて、今回、いくつかの異なる状況で、「ネイティブ」が同席することで、私自身の英文リライトに対する「切れ」や「勘」が鈍り、こともあろうか、ネイティブに遠慮したり、自分の英文リライトに自信を無くしたりしてしまう、という経験をしました。
「まだまだ、甘いなあ」、と自分自身に、幻滅しました。
「何を今更、遠慮しているのか。」
今回の経験は、自分のスタンスを、今一度、見つめ直す、良い機会となりました。
●私は、15年間のテクニカルライティング人生において、ネイティブ論争(ネイ ティブかノンネイティブか)を、ずいぶん、続けてきました。
「ネイティブ至上主義」の日英翻訳の現場で、ずっと、ノンネイティブとして、戦ってきました。
今回の経験では、苦しかったそのトラウマ(?)がよみがえったのか、こともあろうか、少し「調子」を崩してしました。
そして、この情けない体験を自己分析した結果、次の決意を新たにしました。
●15年間のネイティブ至上主義の現場を経験した結果、私は、「ノンネイティブの道」 を歩むことに決めました。
ノンネイティブが自分で表現を決めて、世界のノンネイティブに伝わる英語を書 くことができる、そしてそのノンネイティブの英語は、ネイティブよりもシンプ ルで、ネイティブよりも分かりやすく、そしてネイティブよりも品位が高い。
そんな「ノ ンネイティブ高品質」、を提唱することを、決めていたのです。
背中を押してくださった特許翻訳のお客さんも、ありました。
「自分はネイティブ特許翻訳者の〇〇さんの英語を素晴らしいと思います。でも私は、特許翻訳者中山さんの英語が好きです。」と言ってくださったこと、とても感謝しています。
●さて、ノンネイティブがノンネイティブとして、自信を持って、根拠を持って、ノンネイティブならではの勤勉さを持って、正確、明確、簡潔な英文を作成する、そんなことを、拙著「外国出願のための特許翻訳 英文作成教本」に、思いを込めて、書きました。
この書籍は、今から思えば、苦しかった自分に終止符を打つつもりで、本当に思いを込めて、書いたのだと思います。
さてこの書籍、2015年7月10日付けで、三刷り目を、出していただきました。
初版から1年満たない間に三刷りまで出していただきましたので、一体どなたが読んでくださっているのだろう?、と不思議に思っていましたが、最近、少し、自分の中で結論が出てきました。
内容の是非を別にしても、とにかく読者の方々に、私の「気持ち」だけは、伝わっているのだろう、と結論付けました。
「気持ち」が伝わり、それに共感してくださる方が、購入くださっているのではないか、と思っています。
●読者の方々に深く感謝し、「ノンネイティブ高品質」を目指して、自信を持って先に進もうと、心を決めています。
「ノンネイティブによる、ノンネイティブのための英語」
増刷と今回のネイティブ体験により、また決意を、新たにしました。