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ユー・イングリッシュ 中山裕木子 ブログ

Collins COBUILDで英英辞書使用のハードルが下がる


ここ最近の英英辞書Collins COBUILDに関する記事つながりで、またもう少し、辞書の定義に着目してみます。

 

その前に、英英辞書に関する個人的な苦い思い出。

 

「英英辞書を引きなさい」

学生時代には、何度と無く、いわれた言葉です。

 

その都度、

「引かないといけないんだろうな~」
「きっと英英辞書なんて引いてたら、カッコイイんだろうな~」

「一度引いてみようか」
「英語の定義が分かったような、分からないような・・・」
「ああ面倒・・・」
「別に引かなくても、いいか」
「あれ?英英辞書、どこに行った?」
「新しい辞書購入」

→ 同じことを繰り返す

 

このような状態は、いよいよプロの技術翻訳者として英語を書き始めてからも、続いていました。

 

New shorter, Longman, Oxford, 色々な英英辞書にトライしては、短期間で挫折。

「引いたほうがよいのは分かっているけれど・・・」

 

そんな私に一筋の光をくれたのが、CD-ROM版の英英辞書Collins COBUILDです。

なお、収録語数の関係から、技術系の単語には大変弱いですが、一般語の定義が明快で分かりやすくなっています。

 

●試しに、テクニカルライティングの3つのC、のうちの”Correct”を引いてみましょう。

 

Correctの定義
If something is correct, it is in accordance with the facts, and has no mistakes.

 

「当たり前」のことが「当たり前」に書いてあるところが、良い!

 

●次に、”Clear”を引いてみましょう。

 

Clearの定義
Something that is clear is easy to understand, see, or hear.

 

分かりやすい!

 

 

さてさて、最後に”Concise”です。

これが、最高に、良い定義なのです。

 

少しもったいぶって、Conciseの定義については次回のブログに書くことにします。

 

それまでに読みたい方は、ネット上のEnglish Cobuild Dictionary↓で是非引いてみてください!

 

English Cobuild Dictionary:

http://dictionary.reverso.net/english-cobuild/

Collins COBUILDの明快英語


昨日のブログでは、2つの英単語の英英辞書定義を記載しました。

 

今日は、その英英辞書定義の中にある、3C表現、を考えたいと思います。

まずはもう一度、辞書の定義を読んでみましょう。

 

****

Serendipity

Serendipity is the luck some people have in finding or creating interesting or valuable things by chance. (Collins COBUILD)

****

 

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Resilient

Something that is resilient is strong and not easily damaged by being hit, stretched, or squeezed.(Collins COBUILD)

****

 

英語の中身(意味)を、読んでいるとき、英語表現の「形」には着目できないと思います。

中身(意味)の理解に集中しているため、「英語の形」には注意を払うことができません。

 

 

意味がわかったところで、次に、「英語表現」、に純粋に着目して、読んでみましょう。

この表現のここは良い、ここはこういう意図があってこの表現になっていると思う、などとコメントをするつもりで。

 

 

Serendipity is the luck some people have in finding or creating interesting or valuable things by chance.

 

 

私の分析:

●まず気がつくのが、Serendipity is the luck…のluckの前のtheです。

これは、a luckでも、luckでもダメでしょう。”the luck”と特定しているからこそ、固く厳密な表現として表せる、また、「幸運」、をある人たちが備えている「能力」、のようなニュアンスで、表現が可能です。

 

●次に、the luck some people have in finding or creating…の動名詞、に着目。

to不定詞を使ってthe luck some  people have to find or create…ではダメなのでしょうか。

そうです、ダメなんです。(to不定詞でも間違いではないけれど、…ingがベター。)

the luck some people have in finding or creating…であるからこそ、英文が自然に流れます。

また、「見つける(finding)」「作り出す(creating)」であることで、to不定詞が表すような「これから行うことに対するluck」ではなく、「~という一般事実や行為におけるluck」、また「そういうことが可能になるluck」、として、表すことができています。

 

 

●最後に、interesting or valuable thingsの「or使い」に着目。

「面白いこと や 価値のあること」

orを使うことで、「面白いこと」そして「価値のあること」のいずれか一方、または両方、そしてさらには、その他の事柄すら除外しない、といった意味を表すことができています。

 

つまり、「面白いことや価値のあることなどを」、のように「など」の意味も含めて、表すことができています。

 

 

 

さて、 次の定義。

 

Something that is resilient is strong and not easily damaged by being hit, stretched, or squeezed.

 

●まず目につくのは、関係代名詞thatの使用。

限定用法にはthat、というテクニカルライティングの原則を守っています。

Something which is resilient…とwhichに置き換えてニュアンスを比較すると、thatを使うことで、スムーズに読めたり、先行詞を限定する「限定力」が強まることが感じられるでしょうか。

そのように感じられれば、あなたもテクニカルライター、と言えるかもしれません。

(なお、ここの関係代名詞は、非限定は決して使えない文脈です。)

 

●さて次に、シリアルコンマ。

A, B, and Cのandの前(または今回のようなorの前)のコンマを、「シリアルコンマ」といいます。

このコンマは、文法上は省略可能ですが、入れることで明確になるので入れましょう、と各種スタイルガイドが推奨しています。

この点も、スタイルガイドを読んだことがあるかどうか?明確性を大切にしているかどうか?、が問われるところでしょう。

 

●ついでにstrong and not easily damaged

誰でも理解できる平易な単語を使っています。

 

●さらにはhit, stretched, or squeezedのパラレリズム。

具体的な意味を持つ明快な動詞3つを、綺麗に並べています。

 

 

以上、Collins COBUILDの辞書定義の英語チェックでした。

 

Collins COBUILD、定義が明快で、使いやすい辞書です。

英英辞典の初心者にも、おすすめです。

 

本日の日常英単語serendipityとresilience


先日出張授業に行った際、「良い英単語を知ったんです」、と学生さんよりご報告をいただきました。

 

昨年私の授業を受けてくださった学生さん、1年ぶりにお会いして、見違えるように英語力も伸び、そして考える力、伝える力、「人間力」が伸びておられました。1年前の授業がほんの少しでも、その一助となっていたとしたら、とても嬉しいと思いました。

 

さて、選ばれた言葉は、

 

”serendipity”

 

 

なかなか難しい英単語ですね。

「思い通りにならなくても、思っていたものが得られなくても、その道で、別の良いものを見つけていける力」、と説明されました。

 

良い英単語です。

 

 

さて、英英辞書の定義です。

 

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Serendipity

Serendipity is the luck some people have in finding or creating interesting or valuable things by chance. (Collins COBUILD)

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「それでは私も英単語を一つ」、とその学生さんにお返ししたのが、次の単語です。

 

“resilience”

 

私自身がつらかった時、若く苦しかった20代, 30代前半、この単語が頭に浮かんだことが何度もあります。

何があっても、折れない心、負けない力。

 

形容詞resilientについて、英英辞書の定義を記載しておきます。

 

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Resilient

Something that is resilient is strong and not easily damaged by being hit, stretched, or squeezed.(Collins COBUILD)

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どちらの言葉も、厳しい世の中を生き抜くために、良い言葉だと思います。学生さんが選んだserendipityがとても「明るく」「前向き」な言葉なのに対 して、私が選んだresilientは、少しだけ長く生きている分、苦しみを乗り越えるのに必要な、少し重たい言葉かもしれません。

 

英語は、一つの単語が持つ「強さ」や「ニュアンス」が明快で、とても興味深いと思います。

 

ちなみにresilientのほうは、技術英語でも使えます。

resilient steel = 弾力鋼

 

原稿の校了!


特許翻訳に関する本を執筆していました。

 

日本企業による英文明細書は読みづらい、直訳による特許英文は、読みづらいだけでなく、翻訳の元になった日本語の意味を保持していないことがある、その結果、特許審査がうまくいかなかったり、または特許をとった後でも、権利行使がうまくいかないことがある、そんな問題を解決するための、日英特許翻訳手法に焦点を当てた本です。

英文特許明細書作成のための特許翻訳について、基礎から実務までを扱っています。

主にパリルートでの米国出願を念頭において、解説しています。(PCT出願については、必要箇所にて、触れています。)

 

書き溜めてきた特許英語講師・特許翻訳の資料を一昨年からまとめはじめ、昨年3月より、本格的に、書き始めました。そして昨年4月、出版社を探しました。前著「技術系英文ライティング教本」とは違い、今回は出版社探しをゼロからスタートさせました。無謀にも、適当にホームページを検索して、出版部に企画書を持ち込みました。1社目は保留、2社目で決定、快く、原稿を受け入れてくださいました(丸善出版様、感謝)。

 

そして1年以上かかりましたが、本日、最終章 第6章の最後の校正を終え、すべての校正作業が、終了しました。

特許翻訳業界の役に立つ本になることを、心より、願っています。

 

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詳細な書籍情報は、追って弊社ホームページに掲載します。

現在amazonに掲載されている情報(タイトル「特許翻訳  英文作成教本」)より、出版日の変更が生じる予定です(すでにご予約いただいている方もいらっしゃるとのこと、ありがとうございます)。

to不定詞の「未来指向」を考える


8月2日の大阪開催の弊社第1回目の技術英語基礎セミナー、無事終えることができましたことに、心より感謝しています。ありがとうございました。

 

さて、大阪開催第1回セミナーでは名詞や動詞を中心に、基礎から少しの応用までを、扱いました。「名詞と動詞」、というようにその回のテーマは決めつつも、私のセミナーでは、ご受講者の英文やご意見によって、色々なところに、話を飛ばしたいと思っています。

 

今回は、少しビジネス寄りな例文の中で、複数のご受講者が使われたmake efforts to…という表現ついて、We are making efforts to do…とWe are making efforts in…ing.の違いについて、少し触れることがありました。その中で、to不定詞の「未来指向」について、お話をしました。

 

その続きで、最後に少し触れた一般的な文章での例示について、急ぎばやに説明を終えてしまいましたので、ここに、補足をしておきます。

「その時分かったけれど、もう一度説明したほしい」というご受講者からのお声をいただいたためです。

 

■「to不定詞は未来を表現するもの」

 

そのようなto不定詞の性質から、中学時代に学校でとりあげられがちな、次の表現の英文法の「裏側」について触れました。

 

I stopped smoking.

I stopped to smoke.

 

中学校でのありがちな説明:

 

●中学の先生

stop smokingとstop to smokeで意味が変わるから、注意しないといけないですよ~

なんとなんと、stop smokingは「禁煙する」、を表すのに、stop to smokeは、「タバコを吸うために立ち止まる」をあらわすんです!

 

●生徒

ほぉ~!!!

 

●先生

得意げな顔

 

●その後の生徒

・・・で、どっちがどっちだっだっけ?

なんか、ややこしいなあ、もう、別にどっちでもいいか・・・。

 

 

この種の文法事項を、きちんと理由付けて説明してくれる先生がいればよかったな、と思います。そういうわけで、今回の大阪セミナーで、to不定詞の未来指向の説明時に、身近なこの例文を出しました。

 

以下、大阪セミナーでの説明を振り返ります。

 

「~するのをやめる」という文脈で、stopに対してto…ingを使うと、そのような意味になりにくい、ということを説明しました。

 

I stopped to smoke.

 

この表現ですと、「タバコを吸うのをやめる」、という解釈にならず、stopには「やめ

る」と「立ち止まる」の両方の意味がありますので、stopped to smokeで、to不定詞の部分が、未来を表す「これからタバコをすうこと」、のほうの意味に解釈されます。

 

したがって、I stopped to smoke.と書くと、「私は、タバコを吸うために立ち止まった。」という意味になります。

 

一方、「タバコを吸うのをやめた」、つまり「禁煙した」、と言いたい場合には、I stopped smoking.と表すことになります。

 

動名詞smokingには、「これからタバコを吸うこと」という意味はなく、「タバコを吸うという行為」という意味や、…ingは、to不定詞に比較して、「もう行ったこと」のように、過去を表すような場合もあります。

 

したがって、I stopped smoking.というのは、「私はタバコをやめた」という意味になります。

 

そのような訳で、「~をやめる」や「~をやめた」と表したいときには、to不定詞は使えない、動名詞しか使えない、ということを、セミナーで、お伝えしました。

 

なぜなら、「まだ開始していない未来のこと(to smoke)」を、やめることは、出来ないためです。

 

 

これに比較して、startですと、I started smoking.もI started to smoke.もいずれの表現も可能で、いずれも、「タバコを吸い始めた」の意味になります。

 

smokingを使って、「タバコを吸うという行為」を開始した、ともいえますし、一方で、to smokeを使って、「これから行う未来のことであるタバコを吸うといこと」をはじめる、とも表現できるためです。

 

 

中学時代に、「意味が変わるんですよ~」「そのような動詞もあるから、注意して、覚えておいてください」、と中学校の先生が生徒に伝えた表現でした。

 

I stopped smoking. = タバコをやめた。

I stopped to smoke.= タバコを吸うために立ち止まった。

 

この、「正反対の行為」を、「覚えておくように」、と中学英語では教えられることがありましたが、「to不定詞は未来を表すから、stopという動詞との関係で、この両者は意味が変わる」、という説明は、あまりなされないようです。

 

したがって、to不定詞が未来を表す、ということを理解しておけば、色々な英語表現の、細かいニュアンスが分かったり、慣用表現となっているものの理由が分かったり、すると思います。

 

動詞を見ればすべてが分かる訳ではないですが、ある程度の理由付けや予測は、可能と思われます。

 

更なる例です。

 

I want

I expect

 

などは、「これから起こる未来のこと」を「欲したり(want)」、「期待したり(expect)」するため、to不定詞が後ろに来ます。

 

一方、consider, finish, avoidなどは、「これから起こること」ではなく、「既に起こっていること」や「事実として存在すること」を「考慮したり」「終えたり」「避けたり」するため、to不定詞ではなく、動名詞が後ろに来ます。

 

 

2009年に拙著『技術系英文ライティング教本』を書いたとき、to不定詞の項目で、このこと、つまり「動詞の意味を考えれば、to不定詞をとるか動名詞をとるかがある程度予測できること」までを入れたかったのですが、都合で、入れることができませんでした。

 

技術英語基礎セミナーでは、拙著『技術系英文ライティング教本』に入りきらなかった内容についても、折に触れて、ご提供していきたいと思います。

どうぞよろしくお願いいたします。

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