ユー・イングリッシュ

ユー・イングリッシュ 中山裕木子 ブログ

had betterの理解(業務の日常より)


論文の書き方:若手研究者へ というところからの一節:

 

*****

Beginning independent investigators are often told that a research reputation can be thought of as a product of quantity times quality of published work.

 

若手研究者は、出版物の量と質の積で研究が評価されると耳にするかもしれない。

 

If only one publication appears every 10 years, they may be advised, it had better be a good one. On the other hand, a large number of low-quality publications is not of benefit to the individual or the profession.

 

10年に一度しか出版物を書くことができないのであれば良質にするほうがよいだろうが、質の低い出版物を数多く出すことは,本人にとっても科学分野にとっても有益であるとはいえない。

*****

 

自分で日本語訳を確定しておきながら、意味が取れない。この記載はOn the other handが矛盾しているように思う。いや、英文は誤っていないから、自分の解釈が誤っている。

 

 

●had betterのニュアンス

 

3語英語の説明サイト(「had better」は命令口調。もっと自然に伝えるには?):

https://diamond.jp/articles/-/193586?utm_source=daily&utm_medium=email&utm_campaign=doleditor

 

 

これを実際に適応して、上の英語を日本語に訳そうとするが、何か上手くいかない。

 

 

結局、英語ネイティブにメールで確認しました。

 

なお、私自身はフリーランス時代10年、そしてその前後の合計およそ15年ほど、ネイティブの意見を一切聞かずに、自分の書き方スタイルを確立しました。

「非ネイティブだからこそできる、シンプル英語による高品質翻訳」などと謳ってきました。

「ネイティブに聞かずにスタイルガイドに聞こう」ともよく言ってきました。

 

しかし会社を設立してから最近は、「参考」にするために英語ネイティブの方々の意見を聞くことがあります。

 

意見に振り回されない確固としたスタイルが確立すれば、そこからネイティブ英語話者の意見を少しプラスアルファすることは、より品質を高めるために悪くないと考えています。

 

「私たちは英訳翻訳者、英語力アップしようプロジェクト」も社内でもやってみたいと考えています。

 

英語ネイティブの意見が必須ではないと考えつつも、余力があるときは、前進を願って相談を・・・。

 

 

さて、今回の質問。

 

分かっていたことだけれど、had betterは”a threat”とのこと。それをきちんと適用すれば、先の英語は意味がとれるのに、いざ実際の文、しかも書き言葉の文中に普段目にしないhad betterが出てきて理解が甘くなってしまったことを反省しました。

 

英語ネイティブからのメール:

******

Hi Yukiko,

 

‘You’d better do it! Or else there’ll be trouble.’ is a threat.

 

‘If you’re only going to publish once every ten years, it needs to be a very good piece of work, or you’re going to lose your job.’

 

Is that helpful?

 

Regards,

XX

*****

 

訳文を改定します。

 

意味がとれない訳:

10年に一度しか出版物を書くことができないのであれば良質にするほうがよいだろうが,質の低い出版物を数多く出すことは,本人にとっても科学分野にとっても有益であるとはいえない。

検討中の訳:

10年に一度しか出版物を書くことができないのであれば良質にすべきだが,質の低い出版物を数多く出すことも,本人にとっても科学分野にとっても有益であるとはいえない。

 

もう少し改定中の訳(元の英文に忠実に):

10年に一度しか出版物を書くことができないのであれば良質にすべきという忠告を受けるだろうが,数多く出す場合であっても,質の低い出版物を出すことは,本人にとっても科学分野にとっても無益である。

 

最後に調整した、ややあっさりした訳:

10年に一度しか出版物を書くことができないのであれば良質にすべきだが,数多く出す場合であっても,質の低い出版物を出すことは,本人にとっても科学分野にとっても有益ではない。

 

 

さらに、サラッと言い換えてくれたネイティブによる英語も、書き留めたのでここに残しておきます:

If only one publication appears every 10 years, they may be advised, it had better be a good one. On the other hand, a large number of low-quality publications is not of benefit to the individual or the profession.

→言い換え

Producing only a few very high quality publications is risky; however, producing many low quality publications is also not beneficial.

 

 

「こういうこと」と言い換えるのがネイティブはやはり上手いですね・・・。

パラレリズムも綺麗・・・。

 

 

そして今回の英語の発見:

had betterは、実質的にはhave toと理解すると良い、と思いました。(誰でも知っていること、かな? ですが、自分の中で腑に落ちると、とても楽になります。)

 

一つ、英語の理解が深まりました。

 

(先の3語本の執筆中、説明しようと思って考えているうちに話言葉でshallはshouldであること、そしてshallをshouldに変えるとShall we have a break now?→Should we have a break now?と、友人同士の「~しちゃう?(Shall we…?)」からビジネスに適した「~しましょうか。(Should we…?)」へと変わることを発見して自分の中で腑に落ちたことがありました。今回はそれに似たような機会でした。)

2019年ユー・イングリッシュセミナー


改めまして、2019年度のユー・イングリッシュセミナーのお知らせです。

 

私たちは翻訳者、言葉を扱う上で、日→英・英→日の双方向の理解を深めることが役に立つと考えています。

 

そこで本年度は、言葉を愛し、言葉の特徴を論理的に考えながら翻訳されていると思う実務者の方々に、講師を担当いただきます。

それぞれの担当講師の方々は、次のような特徴があると個人的に考えています。

 

1)和訳セミナー:日本語の組み立て―英語からの変換と正しい日本語を学ぼう

講師の特徴:日本語の特徴を論理的に捉え、和文への訳出方法を体系化されています。私、中山個人が英文リライト時に行う「経験則と言語の特徴に基づくルールを組み合わせたリライト手法」が、そのまま和文(英日)に置き換えられているような類の翻訳手法であると感じています。

 

2)英訳セミナー:英文の組み立て―主語選びからはじめよう!視点を定めた英文の組み立て練習

講師の特徴:3つのC(正確・明確・簡潔)を活かしてどのように英文を書くか、ということを実務で目下実践中。まっすぐひたむきにトライし、突き進む姿が印象的な講師となります。翻訳者というのは、「訳文に粘り強く食い下がること」が時に大切です。そんな「熱心さ」と「テキパキと前に進む力」、この2つの力がバランス良く合わさっていると感じます。受講生と対話的に楽しい時間をご提供できるといいなと願っています。

 

3)和訳・英訳の勉強方法(工業英検1級合格体験記と相談会)

講師の特徴:精密・緻密に仕事を進める翻訳者による工業英検1級合格体験記です。工業英検は、1回で受かる人と、リピーターになってしまう人の2つに分かれてしまうように観察しています。もしも後者になった場合には、継続は力なり、いいときも、悪いときも、受験を続けること、そして実務で力を磨き続けることが大切であると考えます。継続的に、毎日決まった時間を勉強・仕事にあてていく、静かな意志の強さ、そんなことを感じる魅力ある講師です。

 

4)平野信輔先生による和訳・英訳セミナー

平野先生のセミナーには、日本語と英語のテクニックが詰まっています。日本語と英語のそれぞれの特徴を、上手な日本語でご説明くださいます。受講者が内容についてこられているかを丁寧に考えながら、読み手目線の技術文書を書くための、聴衆目線のセミナーをご提供くださいます。ご受講いただける方々には、初級の方も中~上級の方も、安心してお運びいただければと考えます。

 

 

セミナー(1)~(4)の詳しい内容については、弊社セミナーページまたは以下よりご覧いただけますと幸いです。

 

なお、(4)平野信輔先生による和訳・英訳セミナーについては、当日の時間配分を若干変更し、詳しい内容を本日追記させていただいてきました。

 

 

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1)和訳セミナー:日本語の組み立て―英語からの変換と正しい日本語を学ぼう

 

第1部:自然で洗練された和訳を作る方法:品詞の変換

名詞句が幅を利かす英語を、動詞と副詞に彩られた自然な日本語へと翻訳するにあたっては、いかにして英文から動詞を作り出すかが大きなテーマです。もちろん英語にも動詞はありますが、もっと動詞を増やさなければ、なかなか自然な日本語にはなりませんし、そもそも、英文の動詞を和訳時にも動詞として使うとは限りません。

 

適切な動詞を作り出せれば、今まで抱いていた「しっくりこない」感覚とお別れし、日本語で書き起こしたときのような自然な響きを帯びた和訳に大きく近づきます。経験豊富な翻訳者はその技法を体得していますが、そのプロセスが暗黙知として蓄積されているため、初心者に上手く伝えられず、結局は、「たくさん訳して自然に身に付ける」という無益な助言に陥りがちです。

 

私は、これまで経験と勘が頼りだったこの品詞変換のプロセスを、長年にわたる実務経験・指導経験を基に類型化し、初心者でも理解・応用できるよう簡潔にまとめました。すでにその技法を身に付けている翻訳者も、形式知として認識することにより、思考の負担が減り、その効果が英訳にもフィードバックされるはずです。

 

第2部 正しい日本語:助詞「は」と「が」の使い方

助詞の「は」と「が」を翻訳時に「意識的に」使い分けている人はどのくらいいるでしょうか。主語に対して何となく「~は」を当てている人も多いのではないでしょうか。経験豊富な翻訳者の訳文であっても、これらの助詞の使い方に首をかしげることは少なくありませんし、何よりも私自身、キャリアの初期には問題意識が希薄で、いつも何となく「は」と「が」を選び、何となく違和感を覚えながらそのままにしていました。

 

「は」と「が」の機能は、主語を作ることだけではありません。これらの助詞の用法を知識として理解することにより、文にメリハリを付け、文章に自然な流れを生み出し、読み手に誤解を与える余地を減らすことができます。

 

第2部では、「は」と「が」の使い方が不適切な場合に生じ得る問題を考えながら、これらの助詞について翻訳者が備えておくべき知識を身に付けます。

 

 

2)英訳セミナー:英文の組み立て―主語選びからはじめよう!視点を定めた英文の組み立て練習

英文に必須の主語と動詞をどのように選択すれば、「読みやすい」英文となるのか、例題で考察・演習していきます。

 

【イントロダクション】読みやすさのためのSVO・SV・SVC

【基礎】視点を定める

【実践】複数文の視点も定める―新情報は既出情報の枠内に

 

3Cテクニックを学んでも、実際の英文作成に活かすことが難しいと感じることはありませんか?

本講座では、3Cテクニックのポイントである「動詞を活かした能動態表現」を、実際の英文作成でどのように取り入れれば、読みやすい英文を作成できるのかを演習を通じて学びます。

 

 

3)和訳・英訳の勉強方法(工業英検1級合格体験記と相談会)

工業英検1級、複数回受験の末の合格となりました。

合格までの道のりを振り返りながら、効果的であった学習法などをお伝えします。

新形式に移行してからの出題傾向について感じたこと、また行った対策についてもお話します。また、限られた時間の中での勉強時間の捻出方法なども共有してまいります。

 

 

4)平野信輔先生による和訳・英訳セミナー

技術翻訳の和訳・英訳のテクニックをお伝えします。

 

第1部:序論 日本語と英語のテクニカルライティング(13時~13時40分)

  • 和文・英文共通の考え方 ― 3つのCと読者主義・最小限主義
  • 和訳と英訳の違いは何?
  • 事例研究 ― 日本語も英語も、読者が決まればスタイルが決まる

 

第2部:和訳 (13時50分~15時20分)

  • 文脈や行間は技術文書でも重要
  • 時制や助動詞を正しく把握
  • 代名詞は訳す?訳さない?
  • 日本語の語順の自由度を活用する
  • 意味上の主語を丁寧に揃える

 

第3部:英訳 (15時30分~17時)

  • 日本語の読解 ― 意味を捉えれば表現に迷わない
  • 具体化主義 ― 曖昧情報は時間と英語力のムダ
  • 動詞主義と能動態主義 ― ファーストチョイスはSVO
  • 動詞主義と能動態主義の盲点 ― それ、意味変わってない?

 

テクニカルライティングの目的は、読み手に情報を迅速かつ正確に伝えること。ですが、訳文と言うのはなぜか読みにくく使いづらいものになりがちです。この講座では、その原因を探り、翻訳者として気を付けるべきポイントを紹介します。

「自分の訳文に納得がいかない」「直された理由がわからない」「推敲している間に迷路に迷い込んでしまった」そんな経験はありませんか?迷いを断ち切り、より気持ちよく翻訳をするためのお手伝いができればと思っています。

 

 

 

 

 

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