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第20回【シンプルセンテンスのススメ―「無生物主語・SVO主義」・「単文主義」】

「何かが何かをする(Something does something.)」と書く無生物主語・SVO主義

 主語、動詞、目的語を並べるSVO構文は、最もシンプルで、力強い表現となります。<SVOで因果関係を明示する><ありがちSVCをSVOに変換する>さらには<シンプル動詞includeやhaveを使って描写する>というテクニックについて、例文を見ていきましょう。

<SVOで因果関係を明示する>

和文例:コンピュータの優れた処理力のおかげで、多くの職業において、労働者の効率が上がり、生産能力が高まった。

日本人英語例:
Due to the processing capabilities of computer systems, the efficiency and productivity of workers in many professions have been increased. △




原文の英語:
The processing capabilities of computers have increased the efficiency and productivity of workers in a wide spectrum of professions.
<無生物主語・単文のパターン>

United States Patent Application 20040267856
(Intel Corporationの英語)

原文英語の3Cポイント:
 The processing capabilitiesを主語に使い、それがthe efficiency and productivityをincreaseしてきた、として因果関係を明示しています。無生物主語・単文、さらには能動態を使った、ダイナミックで力強い印象を与える表現です。

和文例:近年、半導体業界では、例えばCCDや、最近ではCMOS撮像装置といった電気光学部品の開発や生産が盛んになって
きた。

日本人英語例:
In recent years, in the semiconductor industry, development and production of electro-optical components, such as, for example, charge-coupled devices (CCDs) and, more recently, CMOS imagers, have become increasingly active. △




原文の英語:
In recent years, the semiconductor industry has greatly expanded its emphasis in development and production of electro-optical components, such as, for example, charge-coupled devices (CCDs) and, more recently, CMOS imagers.
<無生物the semiconductor industryを主語に置き、所有格代名詞を使い、「そのemphasisを増した」と書く。このパターンは、increased its practical applications, increased its useなど種々表現へと応用可能>

United States Patent 8,159,050
(Micron Technology, Inc.の英語)

原文英語の3Cポイント:
 「In recent years,」を句として文頭に置いた場合、その後すぐに主語を置くのが自然ですが、日本語から訳された場合、さらにIn recent years, in the semiconductor industry, のように、和文にぴったり対応し、句が並ぶ表現になってしまいがちです。原文英語では、the semiconductor industryを無生物主語として使い、さらに所有格を使い、expand its emphasis、つまり「その強調を拡大する」と書くことで、明快に表現しています。無生物主語・単文を使った力強い表現であると共に、例えばincreased its practical applications(ますます実用化が進んできた), increased its use(ますます使用されるようになってきた)など、他の文脈でも応用
できる重要表現です。

<ありがちSVCをSVOに変換する>

和文例:本例のダイナミックフューザー110によると、先行する演算の結果に依存するサブプリミティブ用の実行バリアが
不要になる。
ダイナミック融合を行うことにより、すべてのスレッドの実行を停止するバリアが不要になる。

日本人英語例:
According to the dynamic fuser 110 of the illustrated example, execution barriers for sub-primitives that depend on the result of previous operations are unnecessary. △…

By performing dynamic fusion, a barrier that stops the execution of all treads becomes unnecessary. △




原文の英語:
The dynamic fuser 110 of the illustrated example eliminates execution barriers for sub-primitives that depend on the result of previous operations.

Dynamic fusion eliminates the need for a barrier that stops the execution of all threads.

<eliminateを駆使してSVOで書くことができる。「XXが不要になる」は、eliminate the need for XXに加えて、eliminate XXと直後に名詞を書くのも可>

United States Patent 8,316,360
(Intel Corporationの英語)

<シンプル動詞includeやhaveを使って描写する>

和文例:誘電体を半導体基板に蒸着させる様々な方法がある。一例として、化学蒸着(CVD)や原子層蒸着(ALD)などが
あげられる。

日本人英語例:
There are various methods for depositing dielectric materials across semiconductor substrates. As one example, chemical vapor deposition (CVD) and atomic layer depositions (ALD) processes are used. △




原文の英語:
Various methods have been developed for depositing dielectric materials across semiconductor substrates. Such methods include chemical vapor deposition (CVD) processes and atomic layer deposition (ALD) processes.
<例示表現includeにより、SVOで簡潔に書ける>

United States Patent 7,737,047
(Micron Technology, Inc.の英語)

原文英語の3Cポイント:
 「~があげられる」という例示表現は直訳せず、Examples include __.と表現することで、シンプルにSVO・能動態で書くことが
できます。

和文例:ディープサブミクロンやナノメータ技術の進歩や回路の複雑化により、VLSIチップは、タイミング要求が厳しくなっている。

日本人英語例:
Due to the deep-submicron and nanometer technologies as well as the increasing complexities of the circuits, VLSI chips are required to meet more stringent timing. △




原文の英語:
Modern VLSI chips have stringent timing requirements due to the deep-submicron and nanometer technologies as well as the increasing complexities of the circuits.
<haveを使ったシンプル表現で語数を少なく。as well asで情報を付加しても大丈夫>

United States Patent 8,019,585
(Intel Corporationの英語)

原文英語の3Cポイント:
 便利な動詞haveを使うことで、シンプルに表現し、読み手の負担を減らすことができます。Haveを使って、「無生物主語」に
何でも「持たせる」ことができます。簡潔に表現できれば、as well asを使って自由に情報を付加しても、負担無く読むことが
できます。

単文主義のススメ

 「~であると」や「~の場合」といった日本語に対して、複文を避けて明確で簡潔に書くテクニックとして、<主語の不特定表現(不定冠詞・無冠詞)を生かしてifのニュアンスを出す>と<前置詞を生かして条件節を無くす>ということが可能です。それぞれ、
例文を見ていきましょう。

<主語の不特定表現(不定冠詞・無冠詞)を生かしてifのニュアンスを出す>

和文例:接続パッドに欠陥があると、溶接強度が落ちたり、ワイヤー固定用の弱い針が折れてしまったりする。

日本人英語例:
If a defect is on the landing pad, the weld strength is reduced, or the fragile bonding needle may be broken. △




原文の英語:
Any defect on the landing pad can either reduce the weld strength or cause the fragile bonding needle to break.
<不定冠詞主語を生かして、単文で簡潔にifを表現する>

GS Swiss PCB AGのHPの英語
(http://www.swisspcb.ch/en/miniaturization.html)

原文英語の3Cポイント:
 「~があると、~となる」といった和文に対して、Ifを使って表現されることが多くありますが、不特定(theを置かない)の名詞を主語に置くことで、SVOを使って、単文で簡潔に、条件を表すことができます。Any defectという主語により、「defectがあったと
したら」というニュアンスが上手く表現されています。

<前置詞を生かして条件節を無くす>

和文例:高性能のイメージセンサーアレイの場合、スキャンするページの幅と同じ幅を有する光検出器を並べる方法がある。
それにより、縮小型光学を使わずに1対1の撮像が可能になる。

日本人英語例:
When high-performance image sensor arrays are used, one method is available for arranging photosensors of a width comparable to the width of a page being scanned, to permit one-to-one imaging generally without the use of reductive optics. △




原文の英語:
For high-performance image sensor arrays, one design includes an array of photosensors of a width comparable to the width of a page being scanned, to permit one-to-one imaging generally without the use of reductive optics.
<「~の場合」を前置詞forを使って「~については」と表すと、複文構造を解消できる>

United States Patent 6,967,683
(Xerox Corporationの英語)

原文英語の3Cポイント:
 「~の場合」を直訳するとWhen(またはIn the case in which, in the case where, in the case that…)となってしまいがち
ですが、語数が多くなります。思い切って語数を省き、前置詞句を使って表現できます。 なお、使用する前置詞は、句の内容に
応じて、Forに限らず、別の文脈では、AtやUnderなど、各種使用が可能です。例えば「低温にした場合、サンプルは…」という文脈では、When the sample is cooled to low temperatures, it…ではなくAt low temperatures, the sample…と書くことができます。また、「高圧力をかけた場合、パネルは…」という文脈では、When subjected to high pressure, the panel…ではなく、Under high pressure, the panel…と書くことができます。

正確・明確に書くために―<無生物主語・単文・SVO>でシンプルセンテンスを極める

 <無生物主語・SVO・単文>を満たす文章は、余計な情報がそぎ落とされ、内容がよく伝わります。この表現を学び、使いこなす
ためには、英語を書くトレーニングに加えて、良い英語を読んで吸収することが大切です。英語を読む際、自分なりに着目する目標、つまり習得する表現を決めて読むと良いでしょう。<無生物主語・SVO・単文>を満たす文章、を探して膨大な量の英語を読めば、
表現を吸収し、これらを使ったシンプルセンテンスを極めることができるようになるでしょう。その結果、正確で明確に書ける可能性が高まります。

【シンプルセンテンスのススメ―「無生物主語・SVO主義」・「単文主義」】のPOINT

  • 着目ポイントを決めて英語を読み、表現を取得する。<無生物主語・SVO・単文>を習得し、シンプルに書くことで、誤りが減り、スキルアップにつながる。
  • SVO構文を使って①因果関係を明示する、②ありがちSVCをSVOに変換する、③シンプル動詞includeやhaveを使って描写する、ということが可能。
  • 主語の不特定表現(不定冠詞・無冠詞)を生かしてifのニュアンスを出す、また前置詞を生かして条件節を無くすことにより、単文で書くと良い。
  • <無生物主語・SVO・単文>の条件を一文中で満たすと、シンプルを極めた文章に仕上げることができる。

目次

本連載は、日本工業英語協会による機関紙『工業英語ジャーナル』に2009年6月から2014年6月にわたって連載した「日英翻訳スキルアップ」(中山裕木子著)を元に、加筆修正したものです。

中山 裕木子著 外国出願のための特許翻訳英文作成教本

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