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第2回【respectively(それぞれ)について】

「一対一」の対応関係

 respectively(それぞれ)は、A and B are C and D, respectively.(AとBはそれぞれCとDである)のように、複数の事象同士が一対一ではっきりと対応する文脈で、それら複数のペアをまとめて表現するのに使うのが文法的に正しい使い方です。つまり、「AとC」「BとD」というように、ペアが複数存在し、それらをまとめて表現したい場合に使います。
 例えば、次のように使います。

Accelerometer BU-3000 and accelerometer BU-7000 have sensitivity ranges of 20–3000 Hz and 50–3000 Hz, respectively. ○
(加速度計BU-3000と加速度計BU-7000は、感度範囲がそれぞれ20~3000Hzと50~3000Hzである)

解説:accelerometer BU-3000と20–3000 Hzが対応。accelerometer BU-7000と50–3000 Hzが対応。

よくある不適切表現①対応が不明瞭

 ところが、複数のペアは存在するけれど、「AとC」「BとD」というようなはっきりとした一対一の対応がない文脈でrespectivelyが誤って使われることあります。
 例えば、次のような使い方が見られることがありますが、これは、厳密には正しい使い方ではありません。

We recorded the vibrations using accelerometers BU-3000 and BU-8000. These accelerometers have sensitivity ranges of 20–3000 Hz and 50–3000 Hz, respectively. ×
(振動を加速度計BU-3000とBU-8000を使って記録した。これらの加速度計は、それぞれ感度範囲が20~3000Hzと50~3000Hzである)

解説:these accelerometersと20–3000 Hzと50–3000 Hzの対応が一対一でないので不明瞭。

よくある不適切表現②不要なrespectively

 また、複数のペアも存在するし、「AとC」「BとD」というように一対一ではっきりと対応しているけれど、使う必要がない文脈でrespectivelyが使われていることもよくあります。例えば、次のような場合、respectivelyは不要です。

The tensile strain was estimated to be 370 μm with the high-speed camera, and 270 to 375 μm with the strain gages, respectively. ×
(引っ張り歪みは、高速カメラによると370μmで、歪みゲージによると270~375μmだった)

解説:一対一で対応する複数のペア「370 μm とthe high-speed camera」と「270 to 375 μm とthe strain gages」が存在するが、それら複数のペアを、まとめてではなく別々に書いているのでrespectivelyは不要。

respectivelyを検討する―読み手がやさしく読めるかどうか

 以上のように正しい使い方と不適切な使い方を知った上で、各文に応じて、respectivelyを使うか使わないかを決定する必要があります。次のCase 1とCase 2について、読み手がやさしく読めるかどうかに基づき、respectivelyの使用を検討し、リライトを試みます。

<Case 1>

The camera focal lengths are 140.3 mm and 141.7 mm on the blue and red sides, respectively.
(カメラの焦点距離は、青色側と赤色側で、それぞれ140.3mmと141.7mmである)

検討結果:読み手に不親切なrespectively
 文末まで読んで初めて、読み手がrespectivelyに気付きます。そこで初めて、blue and red sidesに対して、それぞれ一対一で対応するものが文中に存在することが分かります。しかし、その対応関係については、英文をもう一度読み返して確認する必要があります。読み手に対して不親切な書き方です。

リライト例:
The camera focal lengths are 140.3 mm on the blue side and 141.7 mm on the red side.
(カメラの焦点距離は、青色側で140.3mm、赤色側で141.7mmである)

解説:respectivelyを使わずに書くと、一対一の対応関係が一目瞭然。リライト前と比べてはるかに読みやすい。また、リライト前と比べて語数もそれほど変わらない。

<Case 2>

The thresholds set to OFF, LOW, MED, and HI correspond to 0, 0.01, 0.1 and 0.5, respectively.
(OFF,LOW,MED,HIに設定された閾値は、それぞれ、0, 0.01, 0.1, 0.5に相当する)

検討結果:対応関係の数が多い場合で視覚的に分かりやすければ使用可能
 対応関係の数が多いので、respectivelyを使うと語数が少なく済みます。respectivelyを使わずに書こうとすると、語数がかなり増えてしまいます。数値との対応関係のように、視覚的に読み手に分かりやすい場合に限って、respectivelyを使ってもよいでしょう。

リライト例1:
The threshold set to OFF corresponds to 0. The threshold set to LOW corresponds to 0.01. The threshold set to MED corresponds to 0.1. The threshold set to HI corresponds to 0.5.
(OFFに設定された閾値は0に相当する。LOWに設定された閾値は0.01に相当する。MEDに設定された閾値は0.1に相当する。HIに設定された閾値は0.5に相当する)

解説:スペースが許せば、respectivelyを使わずに対応関係を明記する。この場合、読み手に対応関係を確認する手間をかけずに済む。また、対応関係の読み違いによって内容が誤解されることも防ぐ。ただし語数が増えるのが欠点。

リライト例2:
The thresholds are set to OFF, LOW, MED, and HI. The threshold OFF corresponds to 0, LOW to 0.01, MED to 0.1, and HI to 0.5.
(閾値は、OFF, LOW, MED, HIに設定される。閾値OFFは0に相当し、LOWは0.01に相当し、MEDは0.1に相当し、HIは0.5に相当する)

解説:表現を大きく変えた上で、respectivelyを使わずに対応関係を明記する。また、重複する部分を省略することにより、語数を減らす。読み手に対応関係を確認する手間をかけずに済む上、語数も少なくて済む。

文末vs文中―修飾するものの近くに置いてもよい

 また、単純にrespectivelyの位置を変えることで読みやすくなる場合があります。辞書によると、respectivelyは通常文末に置く、とされています。しかしそれでは、最後まで読んで初めて読み手がrespectivelyに気付くことになってしまいます。読み手にrespectivelyを早く読ませるために、文中の修飾する語句の近くに移動します。
 respectivelyは、副詞です。副詞を置く位置に明確な定義はなく、文末に置くこともできれば、文中に置くこともできます(例えば別の副詞brieflyで考えると、The following describes the motherboard briefly.のように文末に置くこともThe following briefly describes the motherboard.のように文中に置くことも可能)。そして、基本的に、修飾するものの近くに副詞を置くと、明確になります。
 そこで、respectivelyを文中の修飾する語句の近くに置くことにより、文末に置く場合よりも読みやすくなります。読み手が早期にrespectivelyに気付くため、最後まで読んでから対応関係を確認するために読み返すのではなく、対応関係を確認しながら一度に読むことができるためです。
 次のように、respectivelyの位置を変えることができます。

Case 1のリライト例:
The camera focal lengths are 140.3 mm and 141.7 mm respectively on the blue and red sides. (カメラの焦点距離は、青色側と赤色側で、それぞれ140.3mmと141.7mmである

解説:文中のrespectivelyに読み手は早期に気付くことができ、リライト前よりも読みやすい。

Case 2のリライト例:
The thresholds set to OFF, LOW, MED, and HI respectively correspond to 0, 0.01, 0.1 and 0.5.
(OFF,LOW,MED,HIに設定された閾値は、それぞれ、0, 0.01, 0.1, 0.5に相当する)

解説:文中のrespectivelyに読み手は早期に気付くことができ、リライト前よりも読みやすい。

正確・明確に書くために―読み手を第一に考え、読み手に親切に書く

 日英翻訳でrespectivelyの誤用を避けるのは当然のこと、正しい使い方を理解した上で、respectivelyを使ったほうがよいか、使わないほうがよいかを、読み手にとって読みやすいかどうかに基づいて決定します。書き手にとって便利だからという理由でrespectivelyを使い、対応関係を解読する手間を読み手に押し付けるのは好ましくありません。
 respectivelyを使わずに対応関係を明記するほうが読みやすいことが多いですが、一方で、respectivelyを使うと語数が節約でき、また読み手が対応関係をまとめて確認できて便利なこともあります。respectivelyを使わない他の表現で何度かリライトを試みた上で、最終的にrespectivelyを使うか使わないかを決定するとよいでしょう。そして、respectivelyを使う場合でも、修飾するものの近くに置くことにより、読み手に親切な使い方を心がけることが大切です。

【respectively(それぞれ)について】のPOINT

  • 書き手に便利という理由でrespectivelyを安易に使わず、読みやすい表現を選択する。読み手に親切な表現を常に考えることが、スキルアップにつながる。
  • respectivelyの誤用や不適切表現に注意する。
  • respectivelyを使わなくても語数がそれほど変わらない場合、respectivelyを使わずに対応関係を明記するほうがはるかに読みやすい。(Case 1)
  • 少ない語数で表したい場合、視覚的に読み手に分かりやすければrespectivelyを使うことも可能。一方、語数が増えてもよければ、respectivelyを使わずに書くほうが明確。さらに表現を変えることでrespectivelyを使わずに書く工夫をしたり、重複部分を省略することで明確で簡潔に書ける場合がある。(Case 2)
  • respectivelyを使う場合でも、文末に置くのではなく、修飾するものの近くに置く工夫をすることで、読みやすくなる。

目次

本連載は、日本工業英語協会による機関紙『工業英語ジャーナル』に2009年6月から2014年6月にわたって連載した「日英翻訳スキルアップ」(中山裕木子著)を元に、加筆修正したものです。

中山 裕木子著 外国出願のための特許翻訳英文作成教本

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