今日は 翻訳について、書きます。
日本語に引きずられてしまう場合の、私の対処法。
英訳する際、どうしても、原文の日本語に引きずられてしまうことがあると思います。
頭の中を日本語から引きはがして、「英語の頭」になって、英語で「技術を単純描写」する。
これが、なかなか難しい。
なお、自分で訳す時は上手くできても、人が訳したものをチェック&リライトするとき、これが、結構難しい時があることも、実感しています。
それはおそらく、「技術を理解し」「英語で描写する」ことと平行して、「他人の訳抜けや誤りがないかをチェックし」「和文作成者の癖や気持ちに寄り添い」「それを訳した第1訳者の思考回路を理解し」また「その第1訳者の癖を把握しようとする」といった複数の検討事項が入るため、頭の中を日本語から「引きはがす」ことが難しい時があるのだと思います。
いずれにしても、日本語から頭が上手く離れないとき、いつも、私が心で叫ぶ言葉(自分で自分に命令する言葉)。
Describe.
Describe!
Describe!!!
そう、技術を「説明」するのは、explain = 「説明」=give reasons、ではなく、describe = 「描写する」=「説明する」です。
特許明細書の「実施の形態」でも、表題にdescriptionという言葉を使っていますね。
Description of Embodiments=実施の形態の説明
Describe! Describe! Describe!
真剣に心で叫びながら、日本語から頭を引きはがし、英語で技術、発明の内容、を描写する。
(もちろん和文に書いてある内容を)
そして、英語での分かりやすい描写文ができあがったら、日本語とのずれがないかを確認して、さらにリライト、訳文が完成します。
本日少し頭を悩ませた一つに、「考慮する」という日本語がありました。
この日本語、随分前から、注意して、工夫して、英訳しています。
処理法はかなりのパターンを用意しているつもりでしたが、まだ悩むかー、自分。
いつまでたっても、成長がないなあ・・・
と思った一方で、この日本語の使われている背景が、あまりに多様に富んでいるために、一つの紋切り型な解決法がないのだとも思います。
翻訳者は、いつまでも、勉強。いつまでも、思考錯誤。
和文が伝える意図を、適切な英語で、読みやすい英語で、伝える。
しかも日本語の内容を足さず、引かず、英語で適切に伝える仕事。
何年たっても、進化しなければならない。
これは、翻訳者の醍醐味なのだと思います。
さて、今からもうひと頑張り、describe!