ユー・イングリッシュ

ユー・イングリッシュ 中山裕木子 ブログ

10年間 続けてきたこと


2016年はあと少し。

 

12月は少し遠方への出張が続いたり、新しい類のお仕事もありまして、少しペースを崩してしまっていましたが、なんとか乗り切りまして、ようやく、終わりが見えてきました。

IMG_7724   IMG_7864

 

年内の講義は、あと1日だけとなりました。

 

さて今年は、この10年続けてきたお仕事を、2つ程、終了することが決まりました。

Bittersweet goodbye(ほろ苦いお別れ)です。

少しだけ未練があるかもしれませんが、しかし、良い機会、ととらえています。

 

10年・・・、十分な、ひと区切り、だと思います。

 

そのようなこともあり、今年はめずらしく、2016年の終わりに、これまでを、振り返っていました。

 

この10年、まあまあ頑張った、と言えるかな・・・。

 

 

 

さて、2017年より、また一つ一つ、積み重ねて、歩んでゆきます。

 

これからは、向かい風に立ち向かうような「攻め」の姿勢を少し緩和しまして、背中を押してくださる「風」に少しは身を任せて、自由に仕事をしてみても良いかな、とも考えています。

 

今年も良い出会いが、いくつかありましたことに、感謝しています。

 

背中を押してくださる方々とも協力させていただきながら、

Now, it’s time to move on…

 

2017年。

I hope the year will treat us well.

英語の一般書いろいろ(+ACS, AMAのこと)

今回、英語の一般書を書いたため、英語の本って沢山 出ているなあ、と久しぶりに、少し「英語事情」を垣間見てみるようなことも、してみました。

多くの英語本が出ていることに、驚きました。

 

過去にはそのような英語関係の一般書も結構読んでいたのですが、最近はめっきり、愛読書が、偏っていました。

 

ここ数年の心トキメク愛読書は、変わらず、『ACSスタイルガイド(The ACS Style Guide)』です。

IMG_8242 acs

 

本当に、愛して、やみません。

 

とても細かいところが載っているところが、好きです。

 

●例えば、e.g.を私は、丸括弧の中だけで、使っています。つまり、本文中では、使いません。

特にACSにしたがっていたわけではないけれど、それが良いと自分で思って、そのようなスタイルに決めていたところ、ACSにも、次の記載がありました。

 

****

The ACS Style Guideより:

➤ Use “e.g.”, “i.e.”, “vs”, and “etc.” only in figure captions, in tables, and in parentheses in text. Elsewhere, spell out “for example”, “that is”, “versus”, and “and so forth”.

 

e.g., i.e., v.s, etc.などは、図面の説明(figure captions)、表(tables)、本文中の丸括弧( )でのみ使う。それ以外の箇所では、for example, that is, versus, and so forthなどとスペルアウトする。

****

 

●次に、結構多くの翻訳者の方々が、参照符号が2つある時に、systems 12, 13のように、符号を羅列しているのを目にします。それが正しいのかどうかの議論は避けて、私は、systems 12 and 13と、普通にandを使ってつないでいます。

なお、丸括弧を使う場合には、systems (12, 13)のように、andを省いてコンマでつないで、書いています。

これも、自分のスタイル(というか、納得のいく形)として、これまで採用してきましたが、このことに関連して、ACSには、次の記載があります。

 

****

The ACS Style Guideより:

➤ Use a comma between two reference callouts in parentheses or as superscripts.

Lewis (12, 13) found

Lewis12,13 found  (*12,13は上付き)

When the reference numbers are on the line, the comma is followed by a space;

when the numbers are superscripts, the comma is not followed by a space.

 

●丸括弧に入った場合に12, 13のようにandが不要になる。ちなみに、スペースは必要。12,13は×。12,13(スペース無し)は、上付き文字の場合。

****

 

丸括弧以外にも、上付き文字の場合も、andではなく、コンマでつなぐ、ということが記載されています。

また上付き文字の場合、符号同士の間には、スペースが不要です。

 

つまり、12, 13や12,13とandなしに書けるのは、上記の場合(つまり丸括弧に入った場合、および上付き文字の場合)、と理解をしています。

 

さらには、上記「丸括弧に入った場合のand不要」の前には、ダメ押しの、次の記載もあります。かなり丁寧なスタイルガイドです。

 

*****

➤ When two numbered items are cited in narrative, use “and”.
Figures 1 and 2
refs 23 and 24
compounds I and II

番号符号付きの要素を説明文で使う時、andを使ってください。

*****

 

このような、一見細かい点、にも「答え」があることを知ること、そして、自分が納得できる表現を探して翻訳スタイルを決めていくことが、翻訳者として気持ち良く仕事をすすめていくために、大切だと思っています。

 

 

個人的に、ACSの次に好きなのは、AMAスタイルガイド(AMA Manual of Style)です。

こちらも大変細かい「知りたいこと」が載っていると思います。

 

たとえば、私は、「簡単な単語」がより好ましいと思っているため、日本語に「利用する」とあっても、utilizeは通常は使いません。

より平易なuseを使います。

 

したがって、セミナーでは、次のことを、伝えてきました。

 

●utilizeはuseで代用しましょう。

●使うのは、utilization factor, utilization rate(利用率)の場合くらいです。

 

なお、utilization factor, utilization rateという表現には、やはりutilizationのほうが適切だなあ、と思って使ってきました。例えば「光利用効率」などといった文脈で、utilizationを使ってきました。

 

このことに対して、次の記載を見つけた時は、嬉しかったものです。

間違っていなかった、と自分のスタイルを後押ししてもらったようでした。

 

 

****

AMA Manual of Styleより:

Use is almost always preferable to utilize, which has the specific meaning “to find a profitable or practical use for,” suggesting the discovery of a new use for something. However, even where this meaning is intended, use would be acceptable.

 

– useはutilizeより通常好ましい

– utilizeはfind a profitable or practical use for it(有益または実用性を見出す)という意味

– その意味であっても、useが許容

(→つまりuseを使いましょう)

 

例文: utilizeが意味上正しい例

During an in-flight emergency, the surgeon utilized a coat hanger as a “trocer” during insertion of a chest tube.

 

Some urban survivors utilized plastic garbage cans as “lifeboats” to escape flooding in the aftermath of Hurricane Katrina.

 

Exception: Utilization review and utilization rate are acceptable terminology.

 

– 例外:utilization review, utilization rateはOK

****

 

 

とても良い、スタイルガイドです。

 

 

さてさて、本日の本題は、英語の一般書でした。

 

春から担当してきた技術英語研修がそろそろ終盤に向かっていますが、そこでは、「皆様の今後」→independent self-learnerまたはindependent self-editor of your Englishへ、ということを目指して、英語の勉強を続けていただくための色々な書籍を、紹介しています。

 

その中で、「英語の一般書も読んでみたい」、というご意見があったので、自宅の本棚から、一般書もいくつか、持参してみました。

またこの機会に、最近の書籍も少し買ってみましたら、結構、面白かったです。

 

IMG_6891

 

 

英語の一般書、色々あって、目移りするかもしれません。

IMG_8511

 

書籍は、当たりでもハズレ(?)でも、とても、良い買い物だと、思っています。

目に付くものなんでも、買ってみれば良いと考えています。

 

私も一応の著者として、本が一日で書けるものではないことを知っていますので、著者の人生をかけた産物を手の届く価格で購入できること、とても素晴らしいことだと思っています。

 

したがって、それぞれの著者に敬意を持って、知識をもらえることに感謝をしながら、本を開くようにしています。

心に、聞いてみる


拙著「英語は3語で伝わります」は、思っていたよりも多くの読者に手に取っていただいたようです。

本当に、有り難い限りです。

『英語は3語』紀伊國屋新宿本店

(東京の大きな書店の様子の写真をもらいました)

 

テクニカルライティングのコンセプトを、多くの人に手に取ってもらえたこと、そのことが、とても嬉しいです。

早速重版も出していただけたようで、読者の皆様、そして支えてくださった皆様に、本当に感謝しています。

 

 

 

さてさて、私のほうは、早々に、次のプロジェクトに向けて、いくつか、動いていました。

いくつかの立場を持っていますため、次から次へと、agenda(次に取り組むこと)、がやってきます。

 

そんな中、「どちらにしようかなあ」、と考えたことが一つ、ありました。

私は何でも、「まずはやってみる」「種をまいてみる」というせっかちな性分ですので、2つの相反することをはじめてしまい、運良く2つが重なる、なんていうことや、複数から道を選ばなければいけないことにも、比較的、よく遭遇しています。(なお、自分で勝手にはじめたことであって、道を自分で自由に選べる類の場合、のお話です。)

 

そんなときはいつも、初心に戻って、次のことをします。

 

「心に聞いてみること」

 

 

心を無にして、「どっち・・・?」、と聞いてみます。

 

理由を並べたり、背景を考えたり、また損得を考えたり、ということはせず、ただ心に、尋ねてみるのです。

 

すると驚くほど、心は、自分の選ぶべき道を、よく知っている。

 

答えが出ないということは、これまで一度も、ありませんでした。

「迷う」、ということが、まるで、無いのです。

 

私の「心」の位置は、具体的には、心臓より、少し下で、体の中心部分の、少し奥・・・(?)

 

その「心」の場所が「Yes」、と動くほうを、今回も、選択しました。

 

ワクワク、次のプロジェクトが、自分の中では、走り出しました。

高まる気持ちを仕事に込めて、世の中の役に立てることが少しでもできるように、努力します。

書籍出版への想い

今回の書籍は、軽い内容で、一般の方向けに、書きました。いえ、書くつもりでした。

都合で一年前の自分のブログを見ていましたら、丁度ここで↓、企画書を、出版社(ダイヤモンド社 様)に、送っていました。

 

一年前のブログ(http://www.u-english.co.jp/blog/?p=1169)

 

頭に浮かんだアイディア構想から、丁度一年、一応の「形」になりました。

 

今回はこれまでの2冊の書籍に比べると、少し軽い気持ちで書き始めたのですが、しかし結局、いつも必死に、なってしまいます。

 

前著(外国出願のための特許翻訳英文作成教本)のような「悲壮感(?)」が表れているような本ではありませんが、自分としては、それなりのことを乗り越えて、仕上げたつもりです。

 

 

本を書くことへの想い・・・

 

それは、人それぞれなのでしょうけれど、私の場合は、これまでやってきたことを、使いやすい形にまとめて、どんどん公開していくこと、です。

 

これまで自分が曲がりなりにも一生懸命工夫をしてきたことであって、もしかしたら他の人にも使ってもらえるかもしれないアイディア、それを公開して、残して行くことです。

 

また自分も、一つの形にまとめることで、過去の軌跡を利用しやすくなりますし、また一方で、過去をきれいに清算して、前に進んでゆくことができます。

 

さてさて、なんとか無事、出版されまして、紙の書籍を手にすることができました。

 

 

books for blog

 

book

 

やはり、「紙」は、良いです。

紙の手触り、好き。

 

世の中の「書籍離れ」が進んでいるでしょうから、もうギリギリ紙の本は最後かな、などと思いながらも、「紙」の書籍にこだわっていました。

 

(今回の書籍は、時代の流れもあり、Kindle版も出しました。なお、前著「外国出願のための特許翻訳英文作成教本」は、「紙」にこだわって、電子化をしませんでした。しかし、最近読者の方々からご要望をいただくことが多々あるので、前著のKindle版のリクエストをしているところです。前著のKindle化、されるかな・・・。→追記:その後、今からの電子書籍化は難しいとの回答が、前著出版社よりきました。)

 

 

さて、今回の書籍ですが、ダイヤモンド社様のウェブ記事でも、かなり多くの内容が読めるようになっていますので、もしよしければ、ご覧ください。

 

(私が語っている風に、なっています。内容は、おおむね書籍からの抜粋となります。)

 

第1回 “英語は3語で伝わります”特許翻訳者が教える「やさしい英語」(2016.10.12)

http://diamond.jp/articles/-/104230

 

第2回 日本人に最適な「3語の英語」。特許翻訳者のテクニックを紹介!(2016.10.13)

http://diamond.jp/articles/-/104287

 

第3回 日本人の英語は「長くて、難しい」3語でしっかり伝わります。 (2016.10.14)

http://diamond.jp/articles/-/104367

 

・・・連載は6回まで続く予定です。

書籍はじめの、極簡単な、導入部分だけとなりますが、よろしければ、覗いてみてください。

 

 

ダイヤモンド社 さま について・・・。

「広い読者層を持っておられる出版社」ということを知っていたので、今回の一般向け書籍を、お願いしてみました。

 

今回の新たな発見は、同社の編集者様の熱心さ・・・。

著者が自分の書籍に「熱い想い」を抱くことは普通のことなのですが、編集者様も、「想い」をシンクロしてくださっているようだったことには、驚きました。

出版社としての、販売戦略が当然あるでしょうから、それを上手い形で盛り込むご提案をされながらも、私の著者としての、やっぱり譲れない部分、というところも、よく受け入れてくださっていました。

お互いに要望を調整しつつも受け入れながら、上手く歩み寄れた結果になったのではないかな、とも考えています。

(なお、前著「外国出願のための特許翻訳英文作成教本」は、出版社による口出し(?)はほぼゼロでして、内容からレイアウトデザインまで、ほぼ私の生原稿を使わせてもらったのですが(えっと、タイトルのみ、出版社によるものです。)、しかし今回の書籍は、レイアウトや内容の見せ方などに、編集者の方が、工夫してくださいました。なおいずれも、それぞれに、目的にかなった良い執筆環境でした。)

 

今回の編集者様、大きな組織の中で、自分の仕事に「誇り」と「責任」を持って行動・尽力される姿が、勉強になりました。

 

さて、この書籍の話は、このくらいにしておきます。

 

ちょっと暇つぶし、に上の記事(書籍の冒頭より抜粋)を読んでいただける方は、どうかよろしくお願いいたします。

 

テクニカルライティングは、英会話にも効くということ


私は、英語を勉強してきたのに、英語が話せませんでした。

 

英語をどうやったら話せるようになりますか?と聞かれることがあるけれど、私にとっては、それは、ある意味、永遠の課題です。

 

一夜にして、成し遂げられない、一筋縄にはいかない、難しいテーマだと考えてきました。

 

しかし、私は英語が「ペラペラ」と話せないけれど、私は、自分の考えていることを、英語で相手に、伝えることが出来ます。

 

自分が何の仕事をしていて、それがどのように大切であると考えているか、について、英語で誰にでも、伝えることができると思います。

TEDx Talk:Simple English for Everyone, Yukiko Nakayama

 

どうしたら英語を話せるのか?

これはノンネイティブにとって、特に日本人にとって、そして私にとって、永遠のテーマ、かもしれません。

 

少し海外に行ったからといって、英語がペラペラ話せるようには、なかなかならないことを経験されている人もいるのではないでしょうか。

 

何か、超えなければならない、大きなハードルがある・・・。

 

そして一つハードルを超えたとしても、次にまた一つのハードル・・・。

 

なかなかネイティブの方の会話のスピードについていくのは難しいですし、また文化的なハードルを超えるのも難しい。

また、英語を話せるようになるためだけに、長い時間を海外で過ごしたりする、そんな人生の余裕は、無いものです。

 

もっと身近に、英語が使えるようにならないものか・・・

日本人になら、きっと出来る。

なぜかって、日本人は、どのようなことでも勤勉に努力し、器用に、成し遂げることができてきたはず・・・。

素晴らしい精密で高い技術力を誇る、日本国。

英語だけが、語学だけが、日本人にとって、なかなかモノにできない、なんていうことは、ないはず・・・。

 

 

一方で、私はこのような英語を使う仕事をしておきながら、話す英語に関して、ずっと、気後れしていました。

ずっと、ずっと、英語が話せない自分に、悩んでいました。

 

しかし、ある時、大きな変化が起こりました。

 

それは、テクニカルライティングを学んで、リライトを随分経験して、頭の中で、正確・明確・簡潔な英語を組み立てることが、素早くできるようになってきた頃でした。

 

そうだ、テクニカルライティングを、英会話にも生かせばいいんだ、とひらめきました。

 

ついつい直訳しようとする頭の働きをぐっと抑えて、いつもの仕事のライティングのルールにしたがって、落ち着いて、しかし素早く、頭の中で、英文を組み立てるのです。

 

私達は、所詮ノンネイティブ。英語が頭に湧き出て、考えなくても口からするすると出てくる、なんてことは無い、と思ってしまえば、よいことに気付きました。

 

落ち着いて、じっくり考えながら、組み立てるのです。

 

そのように私は開き直った時、私の英語に、変化が起こりました。

この変化は、一気に、起こりました。

 

落ち着いて、言いたいこと、伝えたいことを、テクニカルライティングの要領で、頭の中で、組み立てました。

 

並びはいつも、

主語→動詞→そして目的語。

 

そのようにテクニカルライティングの考えのベースにして、自分の仕事の英語を、英会話やメールといった日常の英語、一般英語、という観点から、改善してしまおう、ということを、自分の中で、試しました。

 

すると、みるみる、私の英語に、変化が起こりました。

 

言いたいことを英語で伝えることが、これまでよりずっと楽に、出来るようになりました。

 

ペラペラ話せなくてもいい、自分の考えを、短い英語でしっかりと伝えること。

 

このことこそが、日本人にとって、ノンネイティブにとって、必要な英語コミュニケーションの力なのではないか、と考えるに至りました。

 

そのような考えを持って、今回、一冊の英語の一般書を、書きました。

 

これまでの技術英語・特許英語からは、全く、離れた書籍です。

 

テクニカルライティングの概念は多く盛り込みましたが、テクニカルな要素は一切なし、という、一般の方向けの簡単な書籍となります。

 

翻訳者と英語講師という2つの目線から、執筆しました。

 

英語を話せるようになりたい方、英語をもっと気楽に使いたいと思う方、英語が苦手な中高生、大学生、社会人まで、広く一般の方にも、読んでいただけるといいなと思っています。

 

少しの脇道にそれた、私のちょっとした、寄り道でした。

 

(普段あまり「寄り道」をしないのですけれど、今回は、少しの遊び心も、盛り込んでいます。)

 

 

「英語は3語で伝わります」

・・・というタイトルになりました。

(*3語とは、「主語」・「動詞」・「目的語」のことです)

 

 

 

最終の校閲が終わり、なんとか入稿へと、こぎつけました。

書籍写真

 

さてあとは印刷していただいて、無事店頭においてもらえるといいな、と思っています。

 

もうamazonにも、載っているようです・・・。

(いつもamazon、掲載が早い・・・。まだ手元に現物が無いのに・・・。)

(そして今回 表紙の帯(おび)が、派手~。)

 

 

JSTC特許英語講座です


今日は久しぶりに、JSTC特許英語講座(東京)です。

 

公益社団法人 日本工業英語協会(JSTC)の専任講師になって、10年以上が経っています。当時何もできない私に講義の機会をくださった協会の担当者様には、いくら感謝をしても、感謝しきれません。

 

初めてのセミナーでは、いくつもの苦い思い出があります。受講者の質問に答えられなかったり、必要以上に緊張してしまったり。猛烈な闇練で、なんとか克服しました。

その後も、失敗を繰り返しながら、苦戦しましたが、なんとか、「講師」を続けてくることができました。

 

そして、東京での特許英語のセミナーを、毎年担当させていただくようになりました。1年に複数回、多い時は1年に5回など、講義に行っていたと記憶しています。セミナーに向けて、毎回入念に、準備をしていました。

 

その準備は、正直結構な大変さだったのですけれど、私のイメージは、大変さを感じさせず、手際よくどんどん情報を出していくセミナー、でした。難しい内容であったとしても、楽しく、かつ好ましくは爽やかに、そして時には熱い想いを裏に持ちながら、限られた時間に詰め込んだ内容を受講者にご提供したい、と思いながら行ってきました。

 

そんなことを行っていたら、特許英語は、一冊の、書籍になりました。

「外国出願のための特許翻訳英文作成教本」の元となったのは、やはりJSTCセミナーだったように思います。

 

そんな特許英語のセミナー、日々切磋琢磨される受講者のレベルは、時と共に、どんどん、上がって行きました。受講者はもはや私から学んでいただくことは無い・・・と思うのですが、それでもリピートしてくださるので、毎回、何をご提供すれば良いか、ここ最近は、悩むことも多くなっていました。

新しくご参加くださる受講者と、リピートくださる受講者の両方の役に立つ内容、というのがあるのか、と悩むことも多くなっていました。

 

さて、今年は、特許英語セミナーをはじめた頃のような内容とスタイルを意識しながら、そして気持ち新たにして、心を込めて、セミナーを作りました。受講者の方々に少しでも役立てる内容になっていることを願っています。

 

あこがれながら通ってきた、クールな東京・・・。

これまでありがとう、東京セミナー。

 

時制について:現在形と未来のwillの違い


担当しています「技術英語」のセミナーで、助動詞について、話していました。

助動詞は、書き手の「考え」を伝えるもの。

その「考え」は、the degree of obligation(義務の度合い)を伝えたり、the degree of probability(起こりうる確率)を伝えたりする、ということをお話していました。

 

加えて、助動詞willは、the degree of probability(起こりうる確率)の中でも最高の類。

willは名詞で「意思」という意味ですから、助動詞willが読み手が伝える「考え」としては、「起こりうる確率」が最高の類、つまり事実を言い切る現在形に、限りなく近い「起こりうる確率」を表します。

 

このような助動詞willの説明ののちに、「時制」について、お話をする機会がありました。

 

ハイレベル英語ライターの方々への「時制」のポイントは、意外と理解しにくい「現在形」、です。

 

現在形は、最もよく使う時制ですが、結構、奥が深いです。

 

現在形には、「時間の概念が無い」という考え方ができます。

 

つまり、現在形は、「普遍的事実」を表す際に使うことができます。

そしてその「普遍的事実」とは、例えば「地球は丸い」や「宇宙は広い」などといった事実だけではなく、「私は英語を教えている」や「私はX社に勤めている」といった事実のことも指します。

 

「時制」を選ぶ時、「普遍的事実かそうでないかを見分けるのが、難しい」という受講生のご意見がありました。

したがって、次のように考えてはいかがでしょうか、とご提案しました。

 

テクニカルライティングの良書からの抜粋:

the simple present is used primarily to express “timeless” generalizations―that is, general statements which do not specify any particular time frame.

 

なお、この ”timeless” generalizations が、現在形は「時制が無い」ということです。

そしてその後に出てくる do not specify any particular time frame も、”timeless” generalizations を理解するために、分かりやすい描写です。

 

つまり、伝えようとしている行為(つまり動作)が particular time frame のものなのかどうか、という点を考えると、現在形を使うのが適切かどうか、の判断が平易になると思います。

 

例えば、I teach English. (私は英語を教えている) I work for X company.(私はX社に勤めている)は、「特定の時間フレーム」に限られた事実ではありません。

したがって、これらには、”timeless” generalizations を表す、現在形の使用が正しい、ということになります。

 

なお、例えばI am teaching English.  I am working for X company.  I have taught English.  I have worked for X company.というように時制を変えると、表す事実に「時間フレーム」という概念が、生じてきます。

 

さて、次に受けた質問は、次のものです。

 

「現在形に限りなく近い助動詞willと、現在形は、どのように違うのか。」

「助動詞には書き手の「意志」が入る、という説明では、分かりにくい。」

 

例えば次の例文を見てみます。

(1) Pressing the button starts the engine.

(2) Pressing the button will start the engine.

(ボタンを押すと、エンジンが始動する)

 

「この2文の違いは何か。」

 

という質問です。

 

私自身は、「違いが何か」、というより、2文の利点(読み手に対する利点)は何か?といった観点から、これまで、これらの英文をとらえていました。

 

(1)

利点:淡々と客観的に事実を述べている。そのような機能(構造)になっている、という意味を表せる。短い。

欠点:startsの動詞構造が読みづらいときがある。「条件を表すPressing the button(ボタンを押すこと)」について、読み手の理解がついていけない場合がある。

 

(2)

利点: willがあることで、読み手が「条件」であること、「その条件となれば~が起こる」という点が理解しやすい。willがあることで、時間的なズレを出せる。

欠点:一語分、長くなる。

 

「このような説明では納得がいかない」ということで、助動詞willと現在形の違いを、テクニカルライティングの洋書からの表現も含め、次のように、簡単にまとめてみました。

 

IMG_7957

 

●時制の復習

現在形:”timeless” generalization

will表現(未来への意思):logically necessary (degrees of probabilityの最上)

と、とららえていただくと、分かりやすいと思います。

 

 

そのつもりで、読んでみると・・・

●現在形は”timeless” generalization

   Pressing the button starts the engine.(普遍事実・そうなることが決まっている)

 

●will表現はlogically necessary (論理的必然)であること。

degrees of probability(確信の度合い)が最上

   Pressing the button will start the engine.(論理的に必然的にそうなる)

 

これら二つは、似ているようで、根本が「時制」か「助動詞」かという点で、大きく違う表現となっている、とも考えることができます。

 

いずれにしても、自分にとって納得のいく説明、を自分で見つけられることが、英語の正しい理解には非常に重要なのではないかと思います。

その助けとなることができるよう、講師は、努力をいたします。

 

“timeless” generalization(現在時制)とlogically necessary(助動詞will)、という英語表現は、いずれもテクニカルライティングの良書より抜き出したものですが、私にとっては、なかなか良い説明だと思っています。

 

ご質問をくださったご受講者の方々にとって、少しでも理解が進まれると良いのですが・・・。

 

以上、講師の日常から、でした。

東京セミナーどうぞよろしくお願いいたします


東京開催セミナー【Application Drafting and Translation Strategies for U.S. Filing of Japanese Applications】(米国出願のための特許明細書の起草と翻訳のコツ)の日取りが、近づいてまいりました。

 

[東京開催セミナー] 2016年8月 5日(金)9:30~16:30

http://www.u-english.co.jp/seminars/2016/4.html

 

今回のセミナーでは、明細書起草者(Application Drafter)と翻訳者(Translator)の皆様にお集まりいただき、日本企業様の英文特許明細書をどのようにして、より良い方向へと転換していけるか、ということを、共に模索させていただきたい、と考えてきました。

 

翻訳者一人の力では何もできないかもしれない、しかし、Application Drafterの方々に助けていただき、教示いただき、そして強く導いていただくことで、翻訳者にも、仕事を通じて、何か日本という国が良くなっていくことに関われるのではないか、大変恐れ多いことですが、そんな思いを持ちながら、本セミナーを開催させていただく運びとなりました。

 

セミナーの準備を終えて、この写真を、眺めていました。

uspto

 

USPTO・・・(米国特許商標庁)

 

 

 

私の明細書翻訳文、どうなっているのかなあ・・・。

無事、仕事を終えてくれているのだろうか・・・。

どんな審査官に、どんな風に審査されているのだろう・・・。

どのくらいの数が、無事特許になったのか・・・。

DOE(Doctrine of Equivalents)は保持できたのだろうか・・・。

英語表現は、問題無かっただろうか・・・。

 

色々なことに思いをはせながら、遠く米国を、見ていました。

 

*****

 

 

 

さて、東京セミナーは現在34名のお申込者に恵まれ、皆様に無事にお会いできますことを、講師のブラッド先生、およびサブ講師(コーディネータ)中山ともに、心待ちにしています。

 

ご参加の皆様にとって実りある1日となりますことを、心より、願っています。

 

どうかよろしくお願いいたします。

 

中山裕木子

 

 

 

 

少しの脇道も歩いていました


「今このようなことをしている場合か?」と自分でも思いながら、激務の中、本業とは少し異なる、「ほんの少しのインターバル」、も過ごしていました。

 

4月より、とてもありがたいことに、ユー・イングリッシュでは、翻訳業の激務が続いていました。そのような翻訳案件をいただける幸せをかみしめながら、一方で、講師業といった色々な「顔」を持っていましたため、目が回りそうな、毎日でした。

 

今期の私の担当学生数は、総数200人でして、200人×【一人につき1~2回の添削】を行いましたので、ファイルのやりとりも、相当なものでした。

 

なお、学生の英文添削(論文)については、色々な意見を持っていまして、これまでも、模索をしてきました。個別の添削をするよりも、全体に対して効果を上げる方法が無いかとか、学生の気づきを促す方向で指導し、自分で直してもらうことで真の力が付くのではないか、など、色々工夫した時期も、ありました。(一応私自身の大学院修士論文テーマはEffective teacher feedbackですが、これは「自立したライターを育成するライティングの添削方法」を調べていました。)

 

しかし、今は、精魂込めて、一人一人の論文ファイルを、丁寧に添削をする方向へと、戻りつつあります。とても大変なのですが、やはり、一人一人の学生との「対話」が出来ます。

 

これはある意味、私の最後の踏ん張り(?)です。いつまでこの大学講師業ができるかわからないと考えている自分の、最後の、学生への精魂込めたメッセージ、のような取り組みです。

 

さて、話が、それました。

 

翻訳案件、講師業、学生添削、とまだまだ落ち着きませんが、一つだけ、落ち着きつつある「脇道の仕事」があります。

 

「今、何に取り組んでいますか?」

 

と、4月にある方が、聞いてくださいました。

 

「特許本(外国出願のための特許翻訳英文作成教本)」を書き終えて、次は何をしようと考えているのですか?」と、信頼するある方から、尋ねられました。

 

そのとき、「今は少しワンクッションの時期で、比較的軽い内容に取り組んでいます」、とお答えしました。

 

そして、「これが終われば、また再度、もう一つの必死な大切な仕事に向かいます。」とも、お答えしていました。

 

内容はお伝えしていないため、「何を言っているのかな」と疑問に、そして不振に、思われていたことでしょう。

 

そう、今、「ワンクッション」、の比較的軽い内容に、取り組んでいました。

 

具体的には、「テクニカルライティングの3C」を技術翻訳業界を超えて、「英語に悩む一般の方」に伝えることができないか、というようなことに、取り組んでいました。

 

昨年行ったTEDxスピーチ(スピーチの記念に、HPにもリンクをおいてみました)→http://www.u-english.co.jp/instructor/

と同類の、ちょっとした「脇道」を、歩いていました。

 

いずれの取り組みも、ちょっとした思いつきから始めたことでしたが、思いのほか楽しかったのと、またこれまでの軌跡や自分の頭の中を整理する良い機会ともなりました。

上手くいけば良いのですが、また10月頃に、ご報告をできるといいな、と願っています。

 

 

さて、あっという間に8月が近づいています。

 

 

今年も何とか前半を乗り越えられたことに感謝をしつつ、目前に迫り来る大切な仕事(翻訳業と共催セミナー)に、尽力してまいります。

心を込めて、翻訳しました


特許明細書の仕事は、「読み手」がとても大切。

日英特許翻訳の最中は、いつも「読み手」を意識して、書いていくことになります。

 

その時、最も近い「読み手」であるお客様の顔を想像したり、途中に位置されるであろうさらなるお客様や、ひいては顔の見えない審査官を想定したり、しています。

 

さて、今回の翻訳文の和文原稿は、とても、「心に残る」、ものでした。

 

大変丁寧に構成し直された日本語。

きっと、「どんな翻訳者が翻訳をしても大丈夫なよう」、に仕上げてあるのでしょう。

このような手の込んだ、素晴らしい仕事をなさる方はどなたなのか、と思いつつ、明細書の書誌情報を見ていましたら、私にとって、お会いしたことはないけれど、少し気になっていた方が、和文作成に関わっておられるような様子でした。

 

その丁寧なお仕事からは、日本語への「想い」、そして真摯なお仕事への「想い」、がにじみ出ていました。

そのような日本語を、英文に訳せるという幸せをかみしめながら、私のほうも、特別に「丁寧」に、翻訳文を仕上げました。

 

「想い」が込められていることがわかる日本語明細書に対して、「想い」を込めたこの翻訳文(英文明細書)、どうか、良い仕事を、してくれますように。

 

どうか、お客様のご要望を満たすことが、出来ますように。

本当に、祈るような気持ちで、納品です。

 

 

今年の私のテーマは、知財ご担当者(application drafter)と翻訳者(translator)の協力、です。

 

恐れ多いことですが、きっとこの双方が、それぞれ真摯な仕事をし、お互いを理解しながら歩み寄り、そして共に一つのゴールを目指せば、きっと、日本企業様の英文明細書は、短時間で、一気に、高品質なものへと、変わっていくことでしょう。

 

今は顔の見えない知財ご担当者を想像しながら、勝手に私のほうで、翻訳する際に盛り上がっているだけなのですけれど、今年は、そのような知財ご担当者の方々にも実際に出会いたいと考えています。

そして、ご賛同いただける方と一緒に、新たな道を歩み出したい、と思っています。

 

(もちろんそのためには、最大限の、自己研磨が必要なのですけれど・・・。)

(自己研磨・・・Push, push, push!  Push myself!)

pagetop